朝日新聞教育面「あめはれくもり」(3)〜胸の内わかち合う場所

7月6日
胸の内わかち合う場所 加藤志保(3)

「だれにもいわない?」

チャイルドラインでは、よく子どもたちからそう聞かれます。コラムの1回目
で話題にした四つの約束を覚えているでしょうか。

「ヒミツはまもるよ」はその第一のもの。電話で話したことで、自らの身に何
も起こらない安心があって初めて、子どもたちは口を開くことがあります。
例えばいじめのこと。話してしまったために先生が出てきて混乱したり、親
に心配をかけたりすることを恐れている子は多いのです。

パンフレットなどで私たちの活動を紹介する際にも、実際の会話そのまま
を、その子が特定される形で公表することは決してありません。必ずアレ
ンジしています。

「どんなことでもいいの?」

そう聞いてくる子もいます。チャイルドラインは相談電話ではありません。
何か問題があり、悩みがあり、それを解決することが目的ではないからで
す。胸の中にあるもやっとしたもの、何か重苦しいもの、あるいは誰かに
伝えたいはずんだ気持ちを分かち合える場所でありたいのです。

話しながら、もやっとしたものが何か気づいたり、重苦しさが軽くなったり。
そうして次の一歩を踏み出す力が子どもの内にわくのを待つのです。
(チャイルドライン支援センター事務局長)
◆電話番号は、ホームページ(http://www.childline.or.jp)にあります。