GOTEN GOTEN 2008 アート湯治祭、グランド・オープン!④

勘七湯さんは1784年(天明4年)創業ということで、東鳴子温泉ではもっとも古い旅館です。
ここにある別館は、今のご主人のおばあさんが昭和のはじめにつくらせ、キャッシュで支払ったという建物で、外見はかなり痛んでいますが、内装はいい材料をふんだんに使った昭和レトロといった感じの掘り出し物。連れて行くと誰もが「え、使ってないの? もったいない!」と言う建物です。

旧国道に面していたため、騒音が嫌がられ、正月以外は泊り客もいなくなってしまったという建物ですが、今は国道も温泉街をバイパスして通っているため、たいへん静か。
アート作品をながめながら、木をふんだんに使った階段や客室のよさも楽しめます。

アイロンビーズで部屋いっぱいのインスタレーションをつくったのは小野寺唯美さん。
オープニング期間中はワークショップも行いました。
なかなか人が集まらず、どうしてかと地域の方に聞いていくと、お年寄りから「2階だとのぼれない」という話が出て、はじめてバリアフリーという思えば高齢化の進んだ過疎地では当然のことに思いいたる、ということもありました。

東京から参加の平面図さんは、東鳴子で行ったインタビューをもとに、ジオラマをつくるという作品を旅館の一室を使って行いました。
リアルな御殿湯駅のほか、明治43年の洪水で流されてしまい、東鳴子ゆめ会議が復活を目指す御殿湯までつくられています!

仙台在住の石川かおりさんは、「ごてんゆファンタジー絵画」と題して、大小の平面絵画を展示しました。
東鳴子をテーマとした絵画や東北をモチーフにしたものなどが展示され、ポストカードも販売。収益の一部は御殿湯復活の資金として寄付されるそうです。

(つづく)