風呂屋専門の工務店 其の弐/神田温泉

風呂屋を専門にしている以上、当然風呂建築に関わるノウハウが蓄積されていきます。
工務店側も施主側もあまりに当然すぎて、一々指示はしません。

ずいぶん前、まだ希望に燃えていた頃、神戸に新築された銭湯を見に行きました。
銭湯と言っても、駐車場は80台ほど駐車出来る、今で言うスーパー銭湯クラスの公衆浴場でした。
オーナーと話したところ、銭湯専門の工務店ではなく一般の工務店を使ったとのこと。
理由は、2代目になって新しい工務店と取引したいのと、知り合いに工務店がいたためだったかと思います。

ところが、風呂に入ってみると不都合な点に色々気づきました。

1.鏡の位置
 鏡の位置が低すぎるので、風呂椅子に腰をかけると顔が映らない。
 首を鏡の位置に合わせないといけない。
 まるで、志村けんの「アイーーーーン」状態。

2.カランの位置
 カランの位置が高いので、水や湯が洗面器に跳ねて飛び散る。

3.土間の傾斜
 浴室土間は通常傾斜を取ります。シャンプーや石鹸を洗い流したお湯が溝に流れやすいように。
 ところが傾斜がなくフラットなので、洗い流したお湯が澱(よど)み、自分の足下や隣の人の足下に水溜まりを作ってしまいます。
 
長年の経験から蓄積された、ノウハウは馬鹿には出来ません。それなりの意味があり、役割があります。

銭湯に限ったことではありませんが。