自殺という戦争 星野智幸より

近年は「終戦」という言葉が少し空しく感じられる
確かに爆撃等はないけれど本当に平和なら
どうして年間3万人以上もの一般人が自殺していくのだろうか

10年連続で3万人超 合計30万人が自ら命を絶っている
1つの都市が消えたようなものだ
自殺志願者や未遂者を含めると数は10倍にのぼると言われる
つまり少なくとも300万人以上が市の瀬戸際まで
追い詰められている社会なのだ

自殺者の苦しみは周囲の者に受け渡される
私は戦時中に生き残った人が死者にやましさを覚える気持ちが
少し理解できるようになった
この感情は死者が返らない以上消えることはない

300万人が生きづらい社会から自らを消す代わりに
自分を追い詰めた社会を壊す
つまり他人を破壊しようとしたらどうなるか
その兆候は無差別殺人の増加という形で現れている
現状ではこの傾向は強まるばかりだ

死者を追悼するとはその苦しみを理解しようと努めることだ
今年のお盆には身近で自殺した者たちの
表明されなかった言葉に耳を澄まそうと思う

<オシロイバナが咲きました>