櫻ヶ岡中学校の中平です。さくらびアートプロジェクト2008で、一躍注目を集めた作品「レインボーハウス」。廃材で全て作られた茶室で憩いの時間を過ごしました。その会場の傍らに「枯山水」をイメージした大量のレジ袋があったのを覚えていらっしゃいますか。
「レジ袋を燃料に換えることができる。」え?まさか、そんなことが本当にできるんだろうか・・。とはじめは信じられませんでした。しかし、レジ袋を材料として使おうと決めた段階でレジ袋の行く末を考えていったロボチームは、佐久のオイル・フィールドながのという工場で油化装置が稼動しているという情報をキャッチしました。その工場では、さくらびの活動を共感してくださり、油化装置を作っている工場も教えてくださいました。なんと、作っている工場は櫻ヶ岡中学校から近い長野市稲葉の「株式会社MMC」でした。しかも、その工場の装置は世界唯一ともいえる高性能で実用化されている装置だったのです。「世界一の工場が長野にあった!?」という感激とともに、「実際にレジ袋を持っていって燃料に換えてみよう!」とキッズ学芸員は思いました。
というわけで、今日30日土曜日、佐久の「オイル・フィールドながの」さんへ、3名のキッズ学芸員、ロボさん、MMC社長さん、テレビ信州の伊藤アナさん、カメラマンさんと行きました。ねらいは、実際にレジ袋を燃料に換えてみるということです。
キッズ学芸員が2ヶ月間毎日回収したレジ袋は、ざっと2000枚以上。10リットルほどの燃料ができるそうです。
社長さんからお話を直接お聞きしました。この装置開発までに17年以上かかったこと、一台3500万円かかるということ、レジ袋を加熱して燃料に換える中で、温度設定しだいで重油、軽油、ガソリンに分けることが可能なこと、分子レベルで分離させるので、炭素など有害物質が市販燃料より含まれないので自然や人間に優しい燃料ができるということ、など驚くことばかりです。ペットボトルのふたも燃料に換えることができるそうです。
2時間ほど間をおいて、燃料がホースの間から流れてきました。「わー、本当にできてる!」「すげー」とキッズ学芸員から歓声があがります。「レジ袋から作る燃料が一番成分がいいんだよ」と社長さんから教えていただきました。琥珀色のきれいな重油です。
この燃料は、学校近くの介護施設に寄付したいと生徒は考えています。自分たちの活動が発展し、つながっていって、物作りの最先端の現場にたどり着いてしまいました。私自身も発見や勉強になりました。
美術の授業から始まった活動が、気がつけば環境学習、福祉学習に結びついてしまいました。もし、同じ活動でも、「環境学習」としてスタートしていたら、生徒の意欲はここまで続いていたでしょうか。今回は、美術作品を作り、多くの人から自分たちの活動を認めていただいた結果、いろいろなことが結びついていったのです。美術教育の可能性を強く感じました。