第19回『農業は永遠に不滅 安定生産、供給の追及へ』(9/10掲載 京都新聞)

私の口癖が『農業を疎かにすると国が滅ぶよ』。でも「農業は永遠不滅の仕事である」と確信しています。戦後日本は、一貫して利益追求に走ってきましたが、なぜか今生きる事に、肉体的にも精神的にも不安が一杯です。
江戸の昔、士農工商と呼ばれた時代がありました。『生かさず殺さず』です。そのような農業政策は今も何ら変わりはありません。今になって自給率をとりあえず一〇%アップと囁いていますが、絶対無理です。
 西欧諸国は一〇〇円の農産物に対して六〇〜七〇円程度を補助していますが、日本は一〇円ぐらいしか補助していません。農業と食糧の大切さがわかっていないのです。
酪農を中心に畜産関係は、壊滅的な状況であり、大半の酪農家は、空気や水で生活していると言っても過言ではありません。
私も一生懸命駆けずり回っています。今ここで頑張らないと絶滅の危機に陥る。ここ一番踏ん張ろう…と。
 農業を金の価値観で判断するから若い人は誰も就農しようとはしません。徴兵制ならぬ徴農制でもとって国民みんなが畑仕事を行ったらどうでしょうか。食糧の輸入は不安定ですから、国民は陸に上がった河童になります。一番の安全保障は自国で食糧(命)を作ることです。
 安定生産、安定供給で、生産者も消費者も双方が安心して暮らせることが原点であると思います。農業が社会の根本基盤であることをどうかお忘れにならないで下さい。