無作為抽出による市民会議の広がり

さる9月13日、当東京自治研究センターにおいて第7回プラーヌンクスツェレ研究会が開催された。そこで報告、議論されたことを簡単に報告しておきたい。(右の写真は第7回プラーヌンクスツェレ研究会の様子)

今年の「市民討議会」等の開催状況
昨年は全国29箇所ほどで無作為抽出型市民討議会が開催された。今年は以下のように開催されている(予定も含む)。
茨城県境町(4月20日)、水海道市(10月1日)、相模原市(9月21日)、藤岡市(8月24日)、富岡市(8月10日)、習志野市(10月)、日野市(10月4・5日)、町田市(10月25・26日)、千代田区・新宿区・港区合同(10月4日)、葛飾区(9月27日)、墨田区(9月20日)、三鷹市(8月23・24日、9月27・28日)、小金井市(8月23・24日)、あきる野市(10月)、栃木市(6月28・29日)、宇都宮市(9月13・14日)、足利市(9月13・14日)、小山市(11月22or23日)、静岡市(9月30・31日)、新城市(9月28日)、札幌市(2月23・24日)
関心のある方は、市民討議会推進ネットワークのメーリングリスト会員に参加しませんか。
kobari@watowa.com

「外かく環状道路・中央ジャンクション三鷹地区検討会」
三鷹市等主催の「中央ジャンクション三鷹地区検討会」の2回目が、9月27日、28日の両日行われる。
三鷹市のホームページ
 http://www.city.mitaka.tokyo.jp/a002/p028/g08/d02800007.html 
1回目の「検討会」の報告
http://www.city.mitaka.tokyo.jp/a014/p028/t02800095.html
9月27日、28日はどなたでも傍聴可能
今日、日本で行われている無作為型市民会議(市民討議会)の中では、規模、内容等、最も広がりをもっていると思われる(主催が、三鷹市、東京都、国土交通省の三者)。この「検討会」を傍聴して新しい市民参加手法の息吹に触れてみなせんか。

「討議型世論調査」の報告
坂野達郎さん(東京工業大学)から、今年神奈川県で取り組まれた「討議型世論調査」が報告された。(右の写真は報告する坂野さん。左隣は篠藤さん))
「討議型世論調査」も無作為抽出で選ばれた市民に「招待状」を送るという手法は、プラーヌンクスツェレと同様である。ただし、「合意形成」が目的ではなく、啓蒙的学習—市民同士による”水平的“コミュニケーションによる学習が目的であり、今年の神奈川県の取組みでは、県(行政)に対する「質問事項」を作成することが目的であった。
当日はペーパーによる報告はなかったので、「討議型世論調査」の情報を発信しているDP JAPANのホームページを紹介しておきたい。
DP JAPANのホームページ
http://dpjapan.org/

札幌市・市民による集中評価会議
無作為抽出型の手法は、昨年から札幌市が市民による行政評価の委員選出に活用している。その内容は以下の札幌市のホームページに詳しい。
 札幌市ホームページ
http://www.city.sapporo.jp/shimin/jichi/kihon/torikumi/hyoka/index.html
評価検討事業報告書
http://www.city.sapporo.jp/shimin/jichi/kihon/torikumi/hyoka/19/hokokusiryo.html

「社会心理学的調査」の報告
研究会では最初に報告されたのだが、このブログでは最後に報告しておきたい。今後、日本でも「市民討議会」「集中評価会議」「討議型世論調査」、あるいは今調布市で行われている「公募+無作為の混合型委員会」など、無作為抽出型の多様な手法について、政策形成のどの段階に、どのような手法がふさわしいのか、これまでの手法(大規模・全員公募型市民会議、パブリックコメント)や、別の試みであるコンセンサス会議などの手法も含めた検証・検討が求められる。その際、今回の報告は貴重なものであると思われる。
報告者は、前田洋枝さん(東海学園大学)であった。(写真、右)
前田さんは、ドイツ・バイエルン州で行われたプラーヌンクスツェレについて、社会心理学的手法で調査を行ったものである。調査は、プラーヌンクスツェレに参加した人と参加しなかった人(招待状を受け取ったが参加しなかった人)に対して、おもに「手続き」と「報告書の社会的受容」について、比較・検討したものだ。
分析は特に「エンパワーメントと参加意図との関連」が重視されており、「市民参加を高める上で、エンパワーメント期待をアピールすることが役立つ可能性を示唆」されたと報告された。(当日のレジメが入用な方は伊藤まで)