「戦争絶滅へ、人間復活へ」—93歳・ジャーナリストの発言

むのたけじ著

*桐生悠々の言葉
「私は言いたいことを言っているのではない
言わねばならないことを国民として、特に
この非常時に際して、しかも国家の将来に対して
真正なる愛国者の一人として、同時に人類として
言わねばならないことを言っているのだ
言いたいことを出放題に言っていれば愉快に違いない
だが、言わねばならないことを言うのは愉快ではなくて
苦痛である
なぜなら言いたいことを言うのは権利の行使であるに反して
言わねばならないことを言うのは義務の履行だからである
 (「他山の石」1936年6月5日発行)

*日本のジャーナリズムは死んだ
高度成長の中で生まれた考え方で、大きいものはいい、
強いものはいい、という巨大神話に新聞もとりつかれてしまった
今、全国紙は800万部とか1000万部なんていう発行部数になっていますが
こんなことは世界で見れば異常なことなんですよ
部数がこれほど多いというのは新聞にとって本当に危険なことです
つまりたくさん売ろうとすれば個性を薄めなければ生きられない
それは読者がいない、ということと同じで
自己主張できないということです

*人類を破滅に導く大量の核兵器
今全世界に核兵器はいったいどのくらいあるのか
インターネットで世界の軍事問題研究所の数字
ソ連から引き継いだロシアが20,000
アメリカが100,500
イギリスが185
フランスが450
中国が450
インドが30
パキスタンが30
合計で31,000発以上ある

*一人、一つ、一個から始める
私はこれまで93年間生きてきていろいろな経験もしてきたし
人も見てきたけれど結局、大事なのは
私を救えるのは私以外にないということです
私は私であり私自身を大事にして自分に誇りを感じ
志を持って生きるということ
そうすると他人のこともよく考えることができる
自分を大事に思う人間でなければ
他人を大事にすることもできません
結局、人を変えるものはやはり自分で
他力によって人は変わりません
法律があろうと刑務所に入れられようと
あるいはご褒美を山のようにもらおうと
それによって人はいい方向へと変わるのではない
でも自分で自分を変えようとすれば少しずつでも
違っていきます
それを継続すればまるで生まれ変わったようになる可能性がある
歴史は一人から始まる、自分から始まる
ということをもう一度みんなで見つめ直さなければいけないのではないか

<カラスウの実がなりました>