東京都、都内市区町村の財政健全化判断比率

総務省が発表した全国の自治体の指標は昨日この欄で報告した。今日は、都内自治体の状況について簡単に分析しておきたい。(具体的な比率は下段のPDFを参照)

1. 実質赤字比率
○ この指標は普通会計(一般会計と企業会計を除く特別会計)について、標準財政規模に対する赤字の比率をみるものである。
○ 都内の自治体は東京都も含めすべて黒字決算であったため、この比率に該当するところはない。
2. 連結実質赤字比率
○ この指標は企業会計も含むすべての会計について、標準財政規模に対する赤字の比率をみるものである。
○ 都内の自治体は東京都も含めすべて黒字決算であったため、この比率に該当するところはない。
3. 実質公債費比率
○ この指標は一般会計と企業会計を含む特別会計の元利償還金、および一部事務組合等への繰出金のうち償還にあてられるものの、標準財政規模(元利償還金等に係る基準財政需要額算入額を除く)に対する比率をみるものである。
○ この比率が早期健全化判断基準である25%をこえると、早期健全化計画の策定が義務づけられる(ただし、20年度決算から)。
○ 都内の自治体は東京都も含め、25%を上回ったところはない。23区では目黒区の10.9%、豊島区の10.0%が最高で、その他の区は一桁にとどまった。26市はすべて一桁の低い比率であった。町村では利島村の20.4%が最高で、10%以上が7団体ある。
○ 23区および26市が低い水準になった背景には、都市計画税の全部または一部を元利償還金から除く特定財源に組み入れるなどの算定方式の変更が行われた結果である。昨年までと同様な方式で算定したら、18%を超える市があったかも知れない(18%をこえると、起債には知事の許可が必要になる)。
4. 将来負担比率
○ この指標は土地開発公社や損失補償を行っている出資法人等に係るものも含め、当該自治体の一般会計等が将来負担すべき実質的な負債(地方債現在高、債務負担行為支出予定額、企業会計等の地方債償還に係る一般会計等からの繰入見込み額、退職手当支給予定額など)の、標準財政規模(元利償還金等に係る基準財政需要額算入額を除く)に対する比率をみるものである。
○ この比率が都道府県で400%(簡単にいえば、標準財政規模の4倍)、市区町村では350%(同、3.5倍)をこえると、早期健全化計画の策定が義務づけられる(ただし、20年度決算から)。
○ この比率が上記の比率を上回ったところはない。東京都は82.9%と都道府県では最も数値が低かったし、市区町村でも100%を超えたところは東大和市126.2%、あきる野市140.6%、日の出町140.3%、大島村166.6%、新島村100.8%、小笠原村126.7%だけである。
○ またこの比率がマイナスだったところも、20区、5市、1町、4村もある。マイナスとは、分子が分母を上回ったということであり、簡単にいえば負債(負債等−基金等)の値が標準財政規模より少ないことを意味する。
○ この比率は今回の19年度決算が初めてであり、算定に当たって都市計画税の取扱いや分子、分母に何を組み入れるのか等、さまざまな経過があったと仄聞する。都内市区町村がこの比率が低かったといっても、財政が健全とはいえないところがあることに注意を要する。