ボードゲーム 楽しみ考え対話する

木製の輪で束ねて立てたたくさんの棒。
子どもが黄色い一本を引き抜く。
「わっ、意外と倒れないね」。
次に母親が用心深く紫色の棒に手をかけた—。
皇太子一家も遊ぶというドイツ製の「スティッキー」。
引き抜く時に束が崩れたら負け。
単純だが盛り上がるゲームだ。

11月上旬に東京都新宿区の東京おもちゃ美術館で開かれた
おもちゃフォーラムには、将棋から外国製ブロックまで
古今東西のアナログなゲームのコーナーが勢ぞろいした。
スティッキーなどのボードゲーム体験コーナーを担当するのは、
大阪市に本部があるNPO法人「世界のボードゲームを広める会ゆうもあ」。
理事の北村忠宏さんは、「相手の顔色を見ながら、時にはうそをつく。
家族に失われがちな対話の機会を増やせる」と話す。

広める会は東京、大阪、京都、滋賀、香川で
定期的に家族向けのゲーム会を開くだけでなく、
お勧めのゲームも認定。
氷に見立てた盤に穴を開けてワカサギ釣りをする「カヤナック」や、
木製のコブタでレースや積み木遊びができる「すすめコブタくん」
などを選んできた。
年間200〜300の新作が出るボードゲーム大国のドイツ製が多いという。
今回の体験コーナーにもたくさん並んだ。

(中略)

このほか、古くからある世界的ゲームなのに
日本ではあまり普及していない「バックギャモン(盤すごろく)」や、
扇を的に向かって投げ、落ちた形で優劣を競う伝統遊戯「投扇興」の
コーナーも人気。
テーブルサッカー台では、家族や友だち同士が歓声をあげて
白熱した試合を繰り広げていた。

フォーラムの2日間の入場者は約2000人と大盛況だったが、
今回限りではない。
おもちゃ美術館では毎月、これらのゲームの体験会が開かれている。
「デジタルな携帯型ゲーム機に没頭し、子どもが孤立化しているのでは」
と、多田千尋館長は言う。
「コミュニケーション力もつくから、アナログなゲームをもっとはやらせたい」
やり出したら夢中にならないはずがない」

<マツムシソウは紫色の美しい花です>