八幡浴場の初湯と洗足田園都市

平成21年の初湯は、大田区、洗足池の北側にある八幡浴場へ行きました。このあたりは東急大井町線、目蒲線、池上線の3路線が走っていて、大岡山、北千束、洗足、洗足池、どの駅からも歩いて行くことが可能です。

狭い範囲に鉄道が密集しているのは、品川区、目黒区、大田区にまたがる洗足一帯の住宅開発と東急が深くかかわっているからです。大正期に渋沢栄一が英国の田園都市を模範として立ち上げた田園都市株式会社が最初に手掛けたのが、洗足地区の田園都市耕地整理事業でした。(洗足に続くのが多摩川台の田園都市土地区画整理事業、有名な田園調布です。)

これらの住宅地に目黒や渋谷から開通した鉄道がのちに合併し、東急電鉄になりました。田園都市(株)の住宅事業自体もそれらの一社、東京横浜電鉄に引き継がれています。

英国本家の田園都市の思想には通勤についてはっきりした考え方はなく、鉄道と住宅の一体開発は日本独特のもののようです。関西の箕面有馬電鉄(現阪急)が先駆け、戦後も千里、多摩などのニュータウン開発で進鉄道と住宅の一体開発は、厳しい通勤地獄を強いた反面、東京や大阪は、通勤に車を使う割合が極めて低く、エネルギー消費の面で世界に誇れるエコ都市を実現しています。

八幡浴場は、千束八幡神社からとった名前でしょうか、(やはたと読むようですが)カウンターの奥さんの元気な「おめでとうございます」に迎えられ、脱衣場も浴室も新しく、しかも手入れが行き届いて清潔感にあふれています。浴槽も工夫して増設したようで、広くてジェットなど種類も多彩。壁は南国の椰子のタイル絵、そういえば脱衣場にハワイアンのBGMが流れていました。

お正月なのでおじいちゃんが多いのかなと思っていたのですが、家族連れが多く、平均年齢はこれまでで一番若いかも。東京工業大学(これも田園都市株式会社が誘致)が近いこともあるかもしれませんが、若い人向けにも魅力があります。駅から近いので電車で寄り道してでも行きたくなる銭湯です。

八幡浴場 大田区南千束3−1−13 16:00〜25:00 金曜お休み 最寄は大井町・目黒線大岡山駅から徒歩5分