幸せもたらす企業を育てる

デフタ・パートナーズ・グループ会長 原丈人さん(56歳)

マイクロソフトの強敵だったソフト開発会社など
数々の企業を育ててきた。
株主ばかりが儲かる「株主資本主義」を真っ向から否定、
多くの人が幸せになれる「公益資本主義」を唱える。
最貧国で興す事業で、そんな持論の真価を自ら問う。

‐公益資本主義とは?
金融危機をきっかけに、米国では大企業の経営者の
法外な報酬が問われています。
70年代に35倍程度だった平均的な従業員との報酬格差は、
今年始めに400倍まで拡大。
世界同時不況が進むいまでさえ金融手法を駆使し
利益をあげている人がいるかと思えば、中流層は崩壊の淵に。
実体経済の悪化で、途上国の貧困問題も深刻化しています。
上から1%に満たない人間が巨万の富を握るのが米国。
ビル・ゲイツ氏のように一握りの人が功成り名遂げて、
慈善事業に専念するより、もっと多くの人々が会社を通じて
社会に富を還元できる仕組みをつくった方がよっぽどいい。
そうした公益を実現するために、これまで会社をつくってきました。

‐持論を実証しようと、最貧国の一つバングラディッシュで、
自ら遠隔教育や遠隔医療の事業を始めました。

日本企業の出資を募り、貧困層の自立を後押しする
無担保・小額融資マイクロクレジットの考案で知られる
バングラディッシュ最大のNGO「BRAC」と合弁で、
次世代通信技術によるネット接続会社を3年前に設立しました。
そこでの事業には、私が経営にかかわってきた企業群の一つが
開発した最先端の動画圧縮技術を投入しています。
フルハイビジョン映像も画質を落とすことなくリアルタイムで
やりとりできるもので、都市の学校の授業風景を農村の教室に
送ったり、遠隔地にいる患者の顔色や患部の鮮明な映像を
都市の病院で勤務する医師に伝えたりしようと。

‐飢餓で命を落とす乳幼児が絶えないサハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、
スピルリナという食用の藻類の普及に取り組んでいます。

スピルリナは理想的なたんぱく源で、その普及は国連機関も
決議しているのですが残念ながら事が運んでいない。
ならば意思決定の迅速さやコスト意識で勝る民間プロジェクトをベースに
動き出そうと、国連直属のNGOの大使に任命してもらいました。
まずサンビア、ボツワナ、モザンビークへ、
日本の若者たちにスピルリナを持って言ってもらいます。
そんな活動を通じ、「日本はなくてはならない国」と言ってもらえる日が
来るのを願っています。

<アロエの花です>