ハチ公のご主人はまちづくりの先達? 東横線を背景に渋谷並木橋のさかえ湯

今度は渋谷駅から南の方をレポートします。
東横線に乗って渋谷の次は代官山ですが、昔は間に並木橋という駅があったそうです。さかえ湯は並木橋駅のあったあたり、だから渋谷駅からはかなり離れています。渋谷駅からはいろいろなルートがありそうですが、ハチ公前へ出て、山手線の西側を行くことにしました。

まずハチ公にごあいさつ、というのはこれまでレポートしてきた東京の古い街並みの多くは、耕地整理事業、あるいは、それから発達した区画整理事業で整備されたものですが、ハチ公のご主人、上野英三郎博士は農科大学(東大農学部)教授で、耕地整理事業の育ての親だったそうです(私の職場で一番博識なSさんに教えていただきました。)。同潤会住宅も、訪ねて行くと、耕地整理事業で整備された土地を取得して建てた例がよくありました。

だから東京のまちづくりとハチ公は上野教授に育てられた兄弟のような関係といえるかもしれません・・・かなり強引・・・、というわけでハチ公の前でまちづくりの先達に感謝。

耕地整理の普及に尽力した上野教授は、関東大震災の復興で多忙だったのか、あるいは渋谷から本郷への長距離通勤の疲れか、大学で急逝され、それ以後はみなさんご存知のハチの物語となります。駒場にあった農科大学が、第一高等学校と交換で本郷に移転したので、職場が自宅から遠くなってしまったんですね。

さて、国道246を越えると、桜ケ丘、渋谷の雑踏は消えて落ち着いた住宅地になります。ユニークな親柱がある猿楽橋で山手線を越えると、高架を行き交う東急東横線の電車をバックに、さかえ湯が見えてきます。ビルの中の少し暗い通路の奥で、ちょっと期待できない雰囲気なのですが。

しかし、浴室に入ると意外に明るく広い洗い場、浴槽に気分は一新。サウナはなく、立ちシャワーも最小限で、銭湯本来の機能に専念しているからでしょうか。天井は浴室部分も低いのですが、湯気がこもらず、タイルもピカピカしています。空気の動きを感じるほど換気が強力なのと、掃除に力をいれておられるようです。その他のサービスも充実し、あちこちに注意書きが貼られていて、がんばるぞという気迫を感じました。

最後に一言、ここのコーヒー牛乳は、プラスティックのキャップではなく、紙のふたを千枚通しであける昔ながらのタイプですよ。

さかえ湯 渋谷区東一丁目31-19 15:30から1:00 金曜お休み 渋谷駅から南へ歩いて10分ほど