追憶の満州旅行 〜2日目〜

一夜明けて、来満2日目。

みんなで専用車に乗り込み、権さんの案内で、まずは、Tおばあちゃんが長女を出産した、牡丹江市郊外にある興隆という村の関東軍官舎跡を訪ねました。

官舎跡といっても、当時のものは何も残っておらず、小高い丘の中腹にマンションのような建物が建っているだけでした。

60数年前、その地で起きたことを、ひとつひとつ、思い出しながらとうとうと語り始めるおばあちゃん。そばでその話に耳を傾ける娘さんとお孫さん。

その様子に、長岡さんのカメラが肉薄していきます。

官舎跡から少し奥へ行ったところに、往時のままの建物が残っているということで、車に乗って行ってみました。

広い広い幹線道路とは裏腹に、一歩奥のほうへ踏み入れると、まだまだ未舗装の狭い悪路が網の目のようにあり、そこに、トーチカの煙突が印象的な、平屋でレンガ造りの古びた住宅が建ち並んでいます。

ゴミの収集は行われていないようで、所々に日常生活のゴミが山積みになっています。

そんな道を進んで行くと、一軒の長屋にたどり着きました。当時の日本人が建てた住居に、今でもそのまま地元の方が暮らしておられました。

この建物を背景に、興隆での暮らしなどについて、さらに詳しく話を聞きました。

撮影をしていると、通りがかりの方や近所にお住まいの方がぞろぞろと集まってきて、都合、Tさんは大勢のギャラリーの前でしゃべる羽目に。しかし、そんなことには全くおかまいなく、淡々とカメラに向かって当時の思いをしゃべってくださるTおばあちゃん。

見学に来ていた地元の方が、撮影していた建物の内部をみせてあげよう、と言ってくださり、実際に暮らしておられる家の中を案内していただきました。

また、70代のおじいちゃんが出てきて、ここに日本人がいたときのことを覚えている、と、Tさんの手を握りながら熱心にしゃべってくださいました。

みなさん、本当に人懐っこくて親切なのが印象的でした。

興隆での撮影後、車で牡丹江市内に引き返し、ラーメン屋で昼食をとってから、牡丹江市のシンボル的存在である「八女投江」の像がそびえる牡丹江川沿いの公園を散策。
みんなで記念撮影をしました。

さらに、Tさんが満州に来て最初に降り立ったという牡丹江駅の駅前に行って、当時の思い出を語っていただきました。

いったんホテルに戻り、近くの百貨店へお土産を買いに行った後、歩行者天国通りにある、権さんお勧めの餃子専門店へ。

おいしい餃子を堪能したあと、近くのスーパーマーケットへ買い物に。ひとごみでごった返す、アメリカ顔負けの近代的なスーパーに驚きながら、思い思いのおやつなどを買い、そのあと屋台でソフトクリームを買って、食べながらホテルへ。

2日目の夜も、ゆっくりと更けていきました。