麻布十番の戦災復興区画整理、きみちゃんの像と 麻布黒美水温泉竹の湯

東京からのまちと銭湯のご案内、2年目に入りました。いつもおつきあいいただきありがとうございます。今回はめずらしく、おしゃれな人気スポットにある銭湯です。

麻布十番は「セーラームーン」の舞台として一部ファンに知られてはいましたが、地下鉄がなく、行きにくい場所でした。しかし東京メトロ南北線が開通したことでブレイクし、気持ちのいい、あるいは上品なデザインのお店が多い人気スポットになりました。特に十番パティオと呼ばれる道路の真ん中の広場は、周囲のオープンカフェやカーブする道の石畳などもあって、ちょっと日本離れした、ヨーロッパの街角を思わせる雰囲気が漂います。

この広場は終戦後、戦災復興土地区画整理事業の際につくられたもので、商業地の賑わいの中心であるとともに、戦災を教訓に、火災時に一時火を避ける場所としても役立つようにも考えられているようです。戦災復興事業はだいたい行政庁が実施しましたが、商業地では自主的に組合を作って土地区画整理事業に取り組んだところもあり、麻布十番もその一つでしょう。

この広場の一番坂上のところにある「きみちゃん」という少女の石像、野口雨情の童謡「赤い靴」のモデルではないかといわれる少女の像の一つです。詩のモデルを巡っては対立する説があるのですが、なぜここに像がというと、ちょっと泣けるお話、もし近くまで来られたら、ぜひ十番パティオに寄ってみてください。

すぐ近くにある竹の湯は黒美水と名乗る「温泉」です。3時半開店の30分前から並ぶ人が出始める人気で、シャッターがあがる前には20人以上が待っておられました。お湯はちょっと熱めか、あるいは温泉だとちょうどいいくらいでしょうか。
壁の絵はタイルですごくかっこいい帆船日本丸。さらに要所要所にはモダンガールとクラシックカーのタイルがあり、浴室と脱衣場の境のステンドグラスなど、全体としてモダンな感じ。ステンドグラスやタイル絵、女湯の方ははどんな図柄でしょうか、気になりますけど。

黒美水竹の湯 港区南麻布一丁目15-12 15:30−23:30 月、金曜休み 南北線麻布十番から5分