とがびレポート56〜クリエイティブとは何か「目玉の館」

Nプロジェクト実行委員会代表の中平です。中学生の作品は、よく大人から「恣意的である」と言われます。つまり、思いつきで制作していて、深さがないというような意味です。もちろん、大人の作品より軽く見られているのです。しかし、とがびの作品を見ていると、大人顔負けのクリエイティブな活動をしていることが読み取れます。そういったことは、作品を見ているだけではわかりません。キッズ学芸員と話を聞いていくうちにはっきりしてきます。
 会議室で美術部一年生の男女が展示していた「目玉の館」。天井からなぜか目玉が何十個もぶら下がっているのです。なぜなんでしょう?

その理由は、東御市梅野絵画記念館からお借りした「目玉」を描いた作品を展示しようとしているからです。目玉はその演出のためだったのです。

会議室のロッカーを覗くと、新聞紙で作った人間のようなオブジェが。目玉から発想して制作したのでしょうか。単に絵を展示するだけではなく、インスパイアされた制作意欲を作品に結び付けようとしています。

担当キッズ学芸員たちがクリエイティブな仕事をしたのは、実はそこではありません。彼らは、当初、「とがびでお化け屋敷をやりたい」と考えていました。そして、部内の担当として美術館の目玉の絵を展示する係になってしまいました。普通ならば、ここでお化け屋敷というコンセプトは白紙になります。しかし、とがびキッズ学芸員は、そこからが違います。目玉の作品の良さを生かしつつ、自分たちのやってみたいと考えている「お化け屋敷」を合体させるアイデアを考えたのです。それが、この「目玉の館」です。二つの結びつかないと思われるコンセプトを結びつける接着剤のような発想こそが、クリエイティブなんだと、私は感心させられました。
 あとで聞いたことですが、実は、この目玉の作家さんは、後に人体をバラバラにした作品を描いたそうです。ロッカーの中のオブジェとまさにつながりました。クリエイティブとは、こういうことを言うのでしょう。