北海道新聞より
長引く不況で就職難が続く中、
NPO法人が新たな雇用の場として注目されている。
国は就職支援を強化し、福祉や環境などNPOの業務に
やりがいを見いだす人も増えており、道内の体験説明会は盛況だ。
しかし、有給の常勤職員を雇っている道内NPOは多くなく、
新たな雇用の「受け皿」となるには経営体力の強化が課題だ。
今年中旬、札幌市中央区のビルの一室。
20〜60代の男女が熱心にメモを取っていた。
道NPOサポートセンターが初企画したNPOへの就職希望者のための講座。
10人がNPOの定義から運営、資金調達までを5日間かけて学んだ。
昨年秋、派遣切りにあった札幌市の男性(47)も参加者の一人。
「自分が必要とされていると実感できる場で働きたい」と受講を決めた。
「NPOの仕事は、自分の問題意識や経験を生かす選択の幅が広い。
内容重視で仕事を選びたい」と意気込む。
国は本年度、NPOの就職情報提供や職場体験を行う
「コミュニティ・ジョブセンター」を全国10箇所に設置。
道内では道NPOサポートセンターに運営を委託した。
道NPOサポートセンターは今年6月から月1回、
職場体験に関する説明会を開催。
参加者は延べ150人に上り、うち21人が実際に仕事を体験した。
だが、肝心の受け入れ側の経営面の課題が立ちはだかる。
道内のNPO活動は福祉やまちづくり、環境保全など多岐にわたり、
現在約1560団体あるが、道が今年1月に行ったアンケートでは
6割以上が年間事業規模1千万円未満の団体だった。
道NPOサポートセンターの調査でも
2008年度決算報告書を提出した道内888団体のうち298団体が赤字で、
有給の常勤職員を雇っている団体は半数に満たないとされる。
<アキノキリンソウが黄色い花をたくさんつけています>