今日から仙台市郊外の市民トラストの森「仁田谷地・市民の森」で、アート茶室の制作をはじめました。プラダンの箱を積み上げて2畳ほどの「茶室的空間」をつくるもので、今日・明日で完成させ、18日(日)の「アートフェスティバルin仁田谷地」オープニングではまったりとした時間を過ごせるようになります。
材料のプラダンの箱は、これまでいろいろなところでつくってもらったものを3分の2ほど使用。赤は北海道岩見沢、緑は船橋、黄色は宮城県古川、白は松本、といった具合で、今回はいつものような協働制作スタイルではなく、森の中でひとり静かにつくっているので、ひとつひとつながめ、それぞれができたときの思い出にもひたりつつ、ゆっくり制作しています。
思えば、こういう風につくるのははじめてかもしれません。不思議とひとりでつくている気がしません。ひとつひとつの箱にいろいろなものが立ち上ります。
この「仁田谷地・市民の森」は、仙台市が進める「百年の杜」という事業の中で開かれた「里山講座」に参加した方たちが、講座終了後にも継続して何かをしたいということで、仙台市所有のこの森を借り受け、5年ほど前から手入れを行ってきた場所です。
毎月二回、下草刈りや間伐を行ってきた結果、実にいい森に仕上がり、市民のみなさんにも森を体験してもらえるようになってきたので、何かいいアイデアはないかとアートに白羽の矢が立ったというわけです。
代表の上原さんは、近代以降、西洋型の都市公園ばかりが増えてしまったが、これからは日本独自の公園のあり方を提案していくべきだと言います。この仁田谷地の森は、仙台市中心部から車で20分あまりの場所にあるにもかかわらず、原生林の面影をのこす自然のままの「公園」です。
正確には市から公園に認定されるには至っていませんが、これからアートをはじめ、さまざまな切り口でこの場を市民参加の場にしていき、日本の「公園」のあり方を考えていきたいとのこと。実にすばらしい考えだと思います。
かなり趣は違いますが、札幌市郊外にあるイサム・ノグチが生前にグランド・デザインを行ったモエレ沼公園に行ったとき、そこがアートをはじめとしたさまざまな切り口で市民が企画を行っていく市民参加の場になっていることをお聞きし、とてもびっくりしたのをおぼえています。
東北のもつ風土や文化、自然といったものをいかしながら、この土地独自のルーツにもとづく「公園」を考えていけたら、本当におもしろいことになると思いました。
たとえば「まち」は、広い意味で言えば「公園」なのかもしれません。そんな風に、歴史や風土までを含めた公共性という発想はすごくおもしろいものを生み出すように思います。
(門脇篤)