講師 宮城まり子先生(法政大学教授、臨床心理士)
12月12日 立川市女性総合センターアイム
参加者 24名
<講演の内容>
*不登校で一番苦しんでいるのは子ども
自分では親に申し訳ないと思っているが、できない自分がつらい。
悪態をつくのはわかってほしいから。
素直にできないのが思春期の子どものつらさ。
そのつらさをわかってあげる事が大切。
*子どもは「自分のありのままを受け入れてほしい」と思っている。
自分を支えてくれる人がいるという確信を持てれば、子どもは自信をもつ。
親子の信頼関係の回復が不登校改善につながる。
*親子のコミュニケーションのポイントは
「なおそうとするな、わかろうとせよ」
「口はひとつ、耳はふたつ(話す2倍、子どもの話を聴こう)」
コップの水がいっぱいの時に水を入れてもあふれてしまうように、
子どもの気持ちがいっぱいの時に何を言っても効果はない。
まず、親の気持ちを(カウンセラー等の力を借りて)空っぽにして、
子どもの気持ちを受け入れる余裕を持つ。
そうすれば、子どもの気持ちも空っぽになって、
親の気持ちを受け入れる余裕が出てくる。
*子どもは「〜ができない」「〜がダメ」と
自分の悪いところばかり拾ってしまうが、「そんなことない」等と
励ますつもりで反対の事を言うのは効果的ではない。
子どもの言うことを頭から否定せず、
「そんな風に感じているんだね」と受け止める。
*子どもは親が本当に自分を受け入れているのか、
何度も試そうとするが、親がブレないことが大切。
「大丈夫。この子はきっと自分の足で立ち上がれる」と信じる。
*人生には「こうであるべき」「こうであらねばならない」というものは一つもない。
「〜でなければならない」ではなく、
「〜にこしたことがない」というように頭を柔らかく考えた方がよい。
*自分だけがこんなに苦しんでいると思えば思うほど苦しくなる。
一人で悩みを抱えて黙っているのが一番良くない。
辛いのは自分だけじゃない事を知れば人は強くなれる。
それには本音で語れる場所を確保する事が大事。
*親がおしゃれなどして生活を楽しむことが何よりも大切。
子どもに生きることの楽しみを見せる。
*不登校は、親も子も新たな成長をするための「育ちなおし」の時期。
<講演後>
約1時間の講演の後、参加者全員が感想や悩みを話しました。
先生の優しい雰囲気もあって、自然と本音で話すことができたようです。
終了後、希望者10人以上が当会事務所に集まり、
お茶を飲みながら、子どものことなどを語り合いました。
今後も、不登校などで悩む親同士が悩みを分かち合える場を
定期的につくっていきます。
<参加者アンケートより>
*先生の温かく優しい雰囲気そのものに癒されました。
子供との信頼関係、安全基地になり得るよう、
受容的態度で接するよう気をつけたいと思います。
先生の表情を思い浮かべながら、子供に接するようにしたいです。
*来てよかった、本当に。ありがとうございました。
とにかく聞き役にまわってみます。
*先生の話し方はすごーくおだやかでソフトで
本当になんでもきいてくれそうで包んでくれそうなあたたかさがありました。
お話の中で、私自身もかなり心を救われたり、
今なんでこんなにむだな努力をしているのかと思うようなことも、
あながちまちがいではないのだと思えたことが、とても大きな収穫でした。
たぶんお人柄からにじみでるものだと思うので、
私にはさかだちしてもムリだと思うけど、
先生のような話し方、きき方ができるようになれたらいいなと思いました。
*今は子供も親も育ちなおしであるという言葉がとても心に残りました。
夫婦で今日の先生の話を話し合いたいと思いました。
*不登校の息子を持ってみて、はじめていろいろな事を
考えられる機会をもらえたと心から思えるようになった現在、
苦しかった時期に先生のお話を伺えていたら
どんなによかったかしらと思いました。
今、私はとても生き生きとしています。
正直、不安は沢山あるけど、今日の先生のお話を信じ、
息子を信じ、向き合っていきます。
*誰でも同じだということがわかりました。
ほっとしました。来てよかったです。
*お子さんの状況は千差万別でも、
その子を支える親の気持ちには共通した苦しさがあると思います。
子どもを支える親のサポートがほしい、
あったらたくさんの人がもっと楽になれるのではと思われてなりません。
同じように苦しい状況を抱えた親同士が関われる場を…。
*大変参考になりました。そこそこ本は読みましたが、
百聞は一見にしかずで具体的に思えました。