常磐線三河島駅、荒川区雲翠泉

土曜日のある番組で「三河島ベスト30」の上位に銭湯が入っていました。荒川区の三河島は商店街、町工場など、銭湯が似合うまちで、実際駅の周りに数多くの銭湯があります。雲翠泉は常磐線の線路南側を駅から東へちょっと行ったところにあります。立派な和風の建物ですが、破風のない二階は東京では珍しいように思います。
中に入ると脱衣場がサイドへ張り出していて、その両側に庭があり、内外とも花がいっぱいです。浴室の構造も東京では珍しく中央に浴槽があって、四方が眺められます。
まず、ペンキ絵は山梨の富士山で、早川絵師の作品。さらに男女の境には、峯雲の署名のある大竹画工場の細密タイル画、荷を積んで川を渡る牛、浮御堂、つり橋と急流の船頭など、どの絵も趣があるものばかり。ただしものすごく熱いのでゆっくり眺めるには相当の根性が必要です。(浅い方はちょっとはまし)
番組は三河島の別の銭湯ですが、真っ赤になった背中が映って、思わずそうそうと納得してしまいました。

雲翠泉 荒川区東日暮里3−16−4 15:00〜24:00 水曜お休み 常磐線三河島駅から徒歩5分

雲翠泉の裏手は常磐線の築堤になっているのですが、ここは昭和37年に起きた三河島事故の現場の近くになります。三河島駅は高架にありますが、その両側を田端から来る貨物線が坂を登ってきて、駅の東側で合流しています。
その日、下り電車が遅れているのを知らずに坂を登ってきた貨物列車(当然蒸気機関車)が、赤信号で止まれずに脱線したのが事故の始まりでした。直後、並走していた下り電車がこれに接触し、上り線にはみ出して停止、それから7分後に現場に差しかかった上り電車が、衝突して大惨事になったのですが、十分時間の余裕があったはずの上り電車に停止の指示が届かなかったことは、かなりミステリーじみています。
しかし、三河島駅へ上っていく線路は現在も見通しがいいとは言えず、踏切から線路を見ながら、十分でない施設で安全を確保しなければならない鉄道会社の苦労を感じました。