講演会「思春期の子育ては親育ち」開催しました

思春期を乗り切る親向けセミナー第6回講演会
「思春期の子育ては親育ち−
いま、求められている新たな視点からの家庭教育」
講師 岩佐壽夫氏(家族ケースワーク研究所長、臨床心理士)
2月20日(土) 参加者 15名

<講演の内容>
社会の変化と子どもたちの生活
昭和30年代、農村文化から工業化社会に入り、
かつて日本の原風景だった棚田や里山、鎮守の森が消えた。
人間関係が薄くなり、人と人が心の中で分かり合えなくなった。
家族のあり方もステップファミリーの増加に見られるように
それぞれが全く違ったものになり、一元論では語れなくなっている。
こうした中、子どもたちが児童期から思春期に入る際に、
第四、第五の空間と呼ばれるものが強い影響力を持つようになった。
インターネットに代表される情報空間(第四の空間)は、
家庭を介すことなく子どもたちにストレートに入ってくるため、
親や大人の英知は届かない。
また、本来は家庭の機能だったいやしの空間が、
カラオケ、コンビニ、マンガ喫茶などの第五の空間に取って代わった。
思春期の子どもにとって、親の過干渉、過保護、過期待はうるさく感じるため、
干渉されたくないという思いがある。
かつてはそのストレスを吸収してくれる人(おばさんなど)が家にいたが、
今では孤独感を味わうためにこうした空間へ足を運ぶようになっている。

思春期の子どもへの接し方
・「過」抜きの保護、干渉、期待を
→自分と子どもの関係を時々チェックすることが必要
・我が子に感謝を求めない
→よその子どもを預かっていると思って接すると余裕が出来る
・我が子の欠点を指摘して責めない
→親が注意して変わった子は一人もいない
・親の年齢は子の年齢
→大人の年齢で接しない。未熟なんだという構えが子どもに安心感を与える
・親離れをしていく時代の子育てから、「子離れ」の時代の子育てへ
→答えを出さないで我慢する
・子をしつける時期は終わり。子どもと「どう付き合うか」の意識を。
・子どもが反抗するのは自己主張ができるようになったということ。
謙虚さはこの時期の子どもにあってはならないもの。
そして、子どもは信頼できる相手にしか自己主張しない。
・「あなたのためを思えば・・・」は、思春期の子どもには言ってはいけない言葉。
ボキャブラリーの工夫が必要。

子どもへの助言の例
—即効性はないが、カウンターパンチとなって後で効いてくる言葉
励ますとき
「やらないで後悔するよりやって後悔する方がずっとプラスになる」
「困難なことは乗り越えられる人にだけに与えられる課題」g
「できないこともあるが、できることもたくさんある。できることから考えよう」
問題解決
「相手のことをわからないというよりも、わかりたいということで悩もうよ」
「自分自身を好きでないと人を好きになれないから、自分を好きになろう」
「できるできないじゃなくて、自分は何をしたいと考えているのかな」
「迷っていることこそやりたい証拠」
「もう遅いと言うことはない。始めるときがスタート」
落ち込んでいるとき
「若いときに格好悪い経験をした人ほど、格好いい大人になれる」
「失敗をおそれて挑戦しないことこそ失敗」
「どんなに苦しくても今を懐かしく思える時がくる」

<参加者の感想>
子どもの生活の中で色々と揺れ続けて、
まさに先生のおっしゃったように情報にふりまわされている毎日です。
親も子もいい時もあり、悪い時もあり・・・
時々このようないいお話を聞かせていただくことで、
気持ちや考えを整理することができるような気がします。

参加してまた新しい情報が得られることができてよかったです。
「不登校のお子さんもいずれ将来必ず社会参加する時が来ます!」という言葉に
とても励まされました。

毎回ながら、親を励ましてくださるよいお話がきけました。
今までの講演のメモを見直しながら、自分の考え方・感じ方に迷いを感じたときに、
あせらずに見守っていこうと思い返しています。

また一つ思春期の特性が理解できました。
我が子は正常な思春期を迎えているんだとホッとしました。
自分への道しるべが確かめられた素敵な講演会でした。

公立小学校、中学校の授業が成り立たない、騒いでいるという状態を聞いて、
一人の親としてどうしてそうなってしまうんだろうと考えることがよくあります。
自分のできることは何なのか、親として考えさせられることはたくさんあって、
何を選ぶべきなのかということが少し整理できたような気がします。
新たな勉強になりました。

こうしてお話を聞くと、改めて自分自身のあり方をふりかえることができるので
有り難かった。