自閉症の僕が生きていく風景 第1回 東田直樹より
自分が悪い子だと初めて知った幼稚園
僕がどんなに人と違うのか
ということに気づいたのは幼稚園時代です
幼稚園という場所は姉が通っていたこともあり
僕にとっては時々行く遊園地のようなイメージでした
しかし想像とは違い幼稚園はただ自由に遊べばいい場所ではなかったのです
奇声を上げたり自分勝手に動いたりするたび
先生や友達が僕を怒ります
僕はなぜ自分が怒られるのかまるでわかりません
気がつくと僕はクラスの問題児でみんなを困らせる存在になっていました
僕は悲しくて悲しくて心の中は張り裂けそうな毎日でした
話せなかったので謝りたくても「ごめんなさい」も言えず
ただへらへらしている僕を見てあきれているみんなの顔を見るのが嫌でした
この頃自分が悪い子だということを始めて知ったのです
(どうしたらみんなのようになれるのだろう)
僕はいい子になりたくて仕方ありませんでした
けれどもみんなが当たり前にしていることさえ僕には宙返りをして
と言われるくらい難しいことなのです
たとえば、前を向いてと指示されても前の人が横を向くとどこが前だか混乱します
お遊戯の時間も先生のまねなどとてもできません
自分の手足がどうなっているのかも自分ではわからないからです
僕は孤独でした
人はいつも突然現れて、何かをしろと命令するし僕の気持ちをわかってくれません
友達は毎日がとても楽しそうでテレビの話や戦いごっこをしています
それは僕にとってはつまらない遊びでした
とにかく疲れ果てていました
ひとりでいることだけが自分を守るために小さな僕にできることでした
ひとりでいれさえすれば安心できたのです
そんな僕の心をなぐさめてくれたのが自然です
・・・・・・新連載です・・・・・・・
<ヒヤシンスは春になるとかたいつぼみを開きます>