広報チームの杉田です。
3年前の2月から書き続けてきたインタビューですが、今月をもって
いったん終了させていただくことになりました。
ずっと他の人の記事を書いてきて、あんまり自分のことを書いていないので、
僕が『多文化』に入ったきっかけやインタビューを始めたいきさつなどを
書いてみようと思います。

大学は法学部で、憲法のゼミに入っていて、今から6年前の
大学3年生の時に「外国人と人権」というテーマで論文を書いていました。
しかし、日頃から「学説や判例だけで論文を書くのはつまらないな」
と思っていて、やっぱり実際にNPOの活動をしている人の話を聞きたいと思って、
インターネットで調べNPOを調べ、3年生の夏ごろに『多文化』の事務所に
来てみました。
論文はグループで書いていたので、ゼミのメンバーと一緒に『多文化』で
代表の王さんにインタビューしたところ、活動がきちんと外国人の子どもの
置かれている状況を踏まえた現実的なものであることが分かり、
「すごいな、こんな堅実的なボランティア団体があるんだな」と思いました。
また、理念や目標がしっかりしているわりには、なんだかとても自然体で、
よくありがちな「私たちは正しいことをしている団体なのです!」
という気負った雰囲気が全くなかったので、「もしかしたら自分に向いてる
団体かもしれない」と思って、ボランティア講座を受けました。

そういうわけで、最初はどういう形で参加したらいいのか分からなかったの
ですが、その当時は中学生向けの塾でアルバイト講師をしていたので、
「休みの日にボランティアに来て、また先生をするのは嫌だなあ」と思って、
王さんに「どこか人手が足りないプロジェクトはありますか?」
と聞いたところ、「調査のデータ整理をやってくれる人がいると助かる」
と言われたので、始めは調査プロジェクトの活動をしていました。

調査プロジェクトが一段落して、データ整理の仕事があまりなくなってから、
特に毎週行くわけでもなく、たまに空いた時間を見つけて顔を出していたら、
ある日、田中さんが一人で『みんぐる』(会員向けニュースレター)の
印刷をしていました。
印刷の手伝いをしながら話を聞くと、『みんぐる』の原稿はいつも田中さんが
ほとんど一人で作っていて、その日も一人で印刷しているとのこと。
田中さんがそのことについて不満がありそうな感じでもなく、
当たり前のようにこなしていることに尊敬しつつ、
「いやいや、こういう作業こそボランティアがやるべきでしょう」
という気持ちが心の中に残りました。

たぶん、僕にとっての「ボランティア」というのは、
「だれかがやらなければいけないことを、みんなで分担してやる」
ということなのだと思っていて、もちろんお金をもらわないわけですから
嫌なことをやる必要は全くありませんが、僕自身は
「応援している団体のために何かをする」ということに、やりがいを
感じているような気がします。
だから、ボランティアをやるからには楽しくわいわいやりたいけれども、
別に楽しくなくなったからといって、やめるわけではなく、
「僕がその活動をする必要性」というものを感じなくなるまで、
やり続けると思います。

しかし、広報チームに入ったときにはそんなに深く考えていたわけではなくて、
最初は何の責任もないお客さん的な参加の仕方をしていました。
『みんぐる』の取材でアフリカ人の方の床屋さんに行って、
アフリカンヘアーにしてもらったり、東京のモスクに行って話を聞いたりしても、
記事は全部他の人に書いてもらっていました。
その当時は『みんぐる』専門のボランティアの方が2名もいたので、
『みんぐる』は彼女らに任せておけば全く問題ないという状況だったのです。
そんな感じで、特にこれといった仕事をするわけでもなく、ミーティングに
顔を出していたところ、「事務局が担当していたメルマガの編集作業を
ボランティアのだれかに代わってほしい」という要望が出て、
僕だけ何の担当も持っていなかったので、引き受けることにしました。

メルマガについては、編集作業を引き継ぐ前から、
「読み物みたいなコーナーが欲しいな」と思っていて、前の担当さんに
自分が書いたエッセイを送って掲載してもらったりもしていましたが、
僕は外国に長期間住んでいたこともなく、特定の国について他の人よりも
知識があるわけでもないので、すぐネタ切れになったという経験がありました。
そこで、僕がメルマガ編集の担当になってからは、他の『多文化』のメンバーに
『なんでもエッセイ』を書いてもらうように頼んでみましたが、
「なんでもと言われても、逆に何を書いていいか分からない」と言われ、
「まあ、そうだよな」と思って、エッセイは数回でやめることにしました。

ある時、ふと「そういえば『みんぐる』でも他の広報媒体でも、あんまり
事務局スタッフを紹介するコーナーみたいなのがないな」と思いました。
そこで、まずは試しに「メルマガで事務局スタッフ紹介」みたいな感じの
コーナーを作ってみようと思って、王さんにインタビューをしてみました。
でも、自分で読んでみて、あんまり満足のいく記事ではありませんでした。
なんだか団体の宣伝みたいな記事になってしまって。
「いやいや、こういう記事が書きたかったのではないんだ」と思い、
もっと自分の中で聞きたいことを整理しようと思いました。
同じ王さんに話を聞くにしても、「NPO団体の代表」として聞くのと、
「王さん個人」として聞くのでは、出てくる話が全く違ってきます。
そして、団体の活動ばかりをインタビューしていても、それは「王さん」
というスタッフの魅力や人物を紹介していることにはならないと
思ったのです。

僕がなんでこんなに長くインタビューを続けることができたかというと、
「自分が所属している『多文化』という団体が、いったいどういう人たちの
集まりなのか」ということをまず自分が知りたかった、ということが
大きいと思います。
事務局スタッフやボランティア、理事、フリースクールの先生、
そして『多文化』で授業を受けた子どもたちが、どのような思いで
『多文化』に参加し、『多文化』をどのように感じていて、今後『多文化』を
どのようにしていきたいと思っているのか、それを知りたかったのです。
そして、自分が知るだけでなく、『多文化』を知らない人たちや、
『多文化』に参加しているにもかかわらず、忙しくて飲み会などに
参加できなくて、ゆっくり語り合う時間が取れない会員の方たちにも
知ってほしかったのです。

今後もずっと『多文化』のホットな人々を追いかけてインタビューを
続けていきたかったのですが、残念ながら難しくなりました。
ご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、僕は6年前から行政書士の試験を
受けていて、前回の試験でやっと合格したところです。
それでも「なるべく早くに開業したいな」と思っていて、来年ぐらいには開業を
するつもりでいます。そのため、今は開業資金を貯めながら、開業に向けての
準備を進めています。
そうすると、受験勉強をしていた時に比べて『多文化』に割くことのできる
時間は減ってしまいます。
また、『多文化』の広報チームは、以前と違ってほとんどのメンバーが
子どもプロジェクトなどのとのかけもちであることに加えて、
そもそものメンバーの人数も少ないため、一般向けであるメルマガに掲載する
インタビューよりも、会員サービスである『みんぐる』の取材や編集作業を
優先的に手伝わなければなりません。
そういうわけで、僕は『多文化』をやめるわけでもなく、広報チームを抜ける
つもりも一切ありませんが、今後はメルマガのインタビューに割ける時間は
あまり取ることができないと思っています。

最後に、インタビューに協力していただいたみなさま、記事を読んで
いただいたみなさま、ありがとうございます。
みなさまのおかけで良い経験ができたと思っています。
これからも、ぜひ『多文化』を応援してください。