民族芸能・にわか芝居

日 時 平成24年2月15日(水)
場 所 西宮郷土資料館
講 師 早栗佐知子氏(郷土資料館)
 民族芸能というジャンルの中の「にわか芝居」について、
古文書や各地の事例を基にしたお話でした。
 「にわか芝居」とは、オーソドックスには「即興芝居」という
ことですが、具体的には時代の変遷や地域によって若干
異なるようです。
 現岐阜県に「飛騨国久津八幡宮祭礼文書」という古文書が伝わっており、たとえば天保11年(1840年)の欄には「狂言ハ国中一同出来不申、俄ヲ三幕」とか、弘化2年(1845年)の欄には「若連中ニテ、ニワカ仕組ミ、」等の記述が見え、祭礼時に奉納されていたようです。
 京阪では、「近世風俗志」に「坐敷にわかと云うは、劇場用かづら・衣装を用ふ。」とあり、きちんとした姿形で演じられたようですが「終りに落と云うことあり。」とあり、滑稽なものでもありました。
 また阪神間でも、今津などでは「二人の男がぼてかづらをかむって二輪加をやるのである。」としており、漫才のようでもありました。
 結局 祭り等で即興的に何かを演じたものの総称が「にわか芝居」であり、その土地、その地域によって独特な特徴を持っていたものということでしょう。
 ただ時代とともに、このような民族芸能が廃れてきているのも現実であり、残念なことでもあります。