アノニマス舞踏会 報告

4月17日18日の二日間東京の森下スタジオにてアノニマス舞踏会4が開催された。
企画は東京ダンス機構(長谷川六さん)によるもので、4公演16作品が出品された。
その2公演に出演した時の報告をしたいと思う。

アノニマス舞踏会4に参加して 

三好直美

「作品内容と地方の現状」

今回アノニマス舞踏会に初参加をした。作品の数だけその表現があり、作品のコンセプトや身体のあり方がそれぞれ違うことに魅かれた。ダンスの経歴や作品へのアプローチが似通ったショーケースを目にすることが多い中、充分に作品を堪能することが出来た。各自自分の表現に自信を持ち、最後まで最善を尽くすことは当たり前のことだが、他を認め合い、ディスカッション出来る場の必要性を常々感じていた。今回参加してみてまさにそのような場が出現していて非常に収穫があった。

さて今回出品した作品「星空シェルター」は題名の意味するように戦争がテーマだ。それは架空の戦火の下無邪気に戦争ごっこをする子どもの情景を描き、その子どもが徐々にその悲惨さに打ちのめされていくが、ふと見上げた空には星が輝きその星空の果てにはきっと違う未来や世界があるのではないか?という内容だ。言葉にするととても陳腐な感じだが、そのままの作品だったと思う。衣裳のベレー帽(フランス軍)やアルミの水筒を使用し、わかりやすい仕草を動きに多用した。いつも自分にとって新しい表現をしたいと考えていて、身体に染み付いた筋肉の記憶とか、常套句のような動きをなるべく廃して動きを創った。ほふく前進や双眼鏡をのぞく仕草、見えない味方に手を振り、水筒を客席に投げた。投げ返された水筒をキャッチして走って逃げる。後半は水筒のふたを取り飲み干すがもう水筒に水は無く・・・ここまでやるのはやり過ぎだったかもしれないが。ただ子どもっぽいコケッティッシュな表現は自分のなかで新しい方法だったように思う。今後はもう少し観客の想像にゆだねる余地のある作品をとも思うが・・・・

さてこの「星空シェルター」はもともとは昨年地元松山で公演したものの改訂版である。そのきっかけを余談になるが触れたいと思う。私は舞踊家として、作品を創る、踊る、企画する、教える以外にもアートNPO「カコア」に所属しアートと地域、アートと人、アートとアートを結び付ける中間支援活動を続けている。そのカコアでの仲間 映像作家T氏とyummy danceの戒田美由紀と2日間の公演を行なった。併せて映像作家T氏とこの10年間で創ってきたコラボ作品を映像展として上映した。場所は「アートステーションおいでんか」以前銀行だった建物を整備し「アートプラットフォームえひめ」として地元のアートNPO3者と合同で運営する。「アートプラットフォーム」と言うと横浜、金沢、神戸などが有名だが、アートを市民に拡げ、アートに関わる人が日常的に交流でき情報が集まる開かれた場所を目指したものだ。この「アートステーションおいでんか」で数々の企画を実現した。その1つが今回の「星空シェルター」だった。実績をつくりやっと市民にも認知されてきたところだったが、不況の波は地方経済にも激しく押し寄せてきて銀行から使用の許可を得ることが出来ず今年3月末を持って閉館となった。最後は創造都市論の第一人者佐々木雅幸氏を招聘したシンポジウムだった。今後は新しい街中の拠点を探し、民間としてできる「アートプラットフォーム」を進めていくことになる。

かなり余談になってしまったが、今回アノニマス舞踏会に参加して多くの刺激を受け、様々な人とのコミュニケーションの大切さを感じた。自分の表現を探し続けることをあきらめない。人と関わりを持ち、それをやり続けることでしか結果はでないのではないかと思う。

20数年前長谷川六さんと出会って「DANCE WORK」の編集のお手伝いをさせていただき、今の私がいる。感謝したい。

(nao)