不寛容が覆う日本の将来 論説室から 大西隆

電車が突然止まった。
どこかで誰かが線路に飛び込んだらしい
人身事故を知らせるアナウンスに車内がざわつく
乗客が一斉にケータイを取り出し
先方に「遅れる」と連絡を入れ始めた
電話やメールのやりとりに交じり
舌打ちやため息が漏れ聞こえてきた

いつから日本人はこんなに不寛容になったのだろう
のど元に刺さったトゲの様に、人の死にさえ顔をしかめる
不寛容が社会全体を覆っているようだ
失敗や挫折、過ちを決して許さない
そんな苛烈な社会のパワハラに追い込まれ
自ら命を絶つ犠牲者は毎年3万人を超えている

4年間で4人の首相が交代した
確かにトップリーダーとしての資質の欠如は国を危うくする
課題は山積の日本なのだ
即座に結果が出なければ当然お払い箱である
ただ、それは取りも直さず日本人のこらえ性のなさの
表れのようにも映る
生き牛の目をくじる成果主義がリーダーをじっくり育てあげる
おおらかさを社会から奪い取っているかのようだ

横笛の人間国宝の宝山左衛門さん(88)はかつてインタビューで
「音に本当に精神が乗るのは65歳を過ぎてからです」と語ったという
戦後日本にはどんな魂が宿るのだろう
死にゆく人が生まれる人より多い時代だ
せめて、人の死を悼む寛容を取り戻せれば
もう少し生きやすい社会になるのかもしれない

・・・・・確かに世の中全体に余裕がなくなっていますね
でもそれは個人の問題とも言い切れないし
この閉塞感がどこから来るのか?ですね・・・・・・

<タチアオイがたくましいです>