アフガンの地で 中村哲医師からの報告

「砂漠で田植え」実現 死の谷に命の緑

これは夢か幻か。夏の東部アフガニスタン
一木一草も生えぬガンベリ砂漠、気温は時に50度を超える
その炎天下で田植えが始まった

昨年8月24,3キロのマルワリード用水路が7年がかりで開通
すでに潤わされた2千数百ヘクタールに加え約1千ヘクタールの
農地を生み出そうとしており、一部に水稲栽培を始めた

砂丘をならし砂防林を造成し熱風を避ける植林、灌漑、排水路網の整備など
完全な農地が実現するまで5年の歳月を見込んでいる
昨年作付けしたスイカが初めての収穫となった

水の恵みはこればかりではない
草地が広がると牧童達が家畜を連れて集まり畜産も可能である
その他、養蜂、果樹栽培、薪の生産、大きな貯水池で養魚もできる
死の谷が命の緑野に変じたのだ

先日、いつも通るジャジャラバード近郊の橋で米軍の車列が攻撃され
7人の米兵が死亡した。動転した米兵が数百メートル先で
水遊びする子どもたちに乱射、4人が死んだ。ひどい話だ。
もはや外国軍に敵意を持たぬ市民のほうが珍しいであろう

道義上すでに敗北した彼らは何を守ろうとするのか
嘘が嘘を呼んで膨らむ架空の世界は根拠を失って崩壊する

命を軽んじて天意から離れ、人の分を超えた思い上がりや虚飾は
滅亡にいたる道である。
与えられた恵みを忘れ殺戮に狂奔する姿は哀れである

今、砂漠で田植えを行い死の谷が命の緑野に変貌するさまを見るとき
確たる恵みの実感とともに世界中にはびこる狂気や不安の運動から
自由であることに感謝せずにおれない

・・・・・・非政府組織「ペシャワール会」現地代表のリポートだが
乾燥化で廃村となった地域に灌漑で村人達が戻ってくることや
毎日スイカが1〜3トンの収穫があることなど本当に頭が下がる思いです・・・・

<グラジオラスが夏の暑さに負けず咲いています>