山手線をはさんで目黒の建築家土浦亀城邸と不動浴場

西側の山手線は切り通しの中を通っているところが多く、東京の山の手が起伏に富んだ土地だと実感できます。目黒駅付近もそうで、目黒通りは山手線の上を跨いでいきます。目黒駅の北東の小高いあたりには建築家土浦亀城の白い自邸が建っています。
土浦亀城の作品というと思い出すのは、銀座泰明小学校の隣の今はない中華料理店、「エビもつチャーハン」が好きでよく通ったのですが、それも土浦亀城の作品と知ったときにはもう解体された後でした。自邸は銀座の三原橋センターの丸い建物と対照的に四角く、それでいて似通ったすっきりした印象の建物です。住宅地ですので静かに通り過ぎましょう。

一方、目黒駅から南西側には不動浴場があります。権之助坂を下り、目黒通り、神田川を渡り、大鳥神社の先を南へ曲がります。寄生虫博物館が目印です。左手に和風の銭湯が見えてきて、この先は目黒不動につながります。建物は唐破風ではありませんが立派な破風がつき、玄関周りにはたくさんの鉢植えが。玄関も男女の入口が別々にあります。もちろんタタキで再度合流しますが。傘入れもカーブを描いた古いものがありますが、そちらは植物に囲まれて使われておらず、下足箱に傘もいっしょに入ります。のぞいてみると奥に穴があって傘の先は向こう側に突き出すわけです。

高い格天井、番台と脱衣場は雰囲気たっぷりです。脱衣場にも鉢植えがたくさんあります。浴室は高い湯気抜きのある伝統的な造り。湯気抜きの天井に青く菱形に縁取りがあります。富士山と湖水のペンキ絵、男女境の壁にもタイル絵があります。鴛鴦、鹿、鷹、椿、紅葉などの図柄。九谷鈴栄堂の印と「暁舟」?というサインがあり、鈴栄堂はタイル絵界の写楽と一部で呼ばれる「章仙」さんが有名ですが他の方もいらしたんですね。ただシャワーブースを作ったために見えにくくなっているのは残念ですし、その際補修したんでしょうか、若干デッサンが狂っているような気がするのですが。

不動浴場 目黒区下目黒3−22−19 15:30〜24:00 金曜お休み 目黒駅からバス 大鳥神社下車徒歩3分