木を見て人を見て考えたこと(2)

講座で松文商店におじゃましました。松文商店さんは茶室材料や北山丸太など銘木を商う老舗です。銘木を並べた店先で吉村栄二社長がニコニコしながら話される様子は、「この子はこういう長所がありましてね〜」と我が子をほめる父親のように見えました。木といっても様々で、節がなく滑らかで美しい木肌。ごつごつした節が特徴のもの。木を切るのに最適な時期をわざとずらし、カビを生じさせる木もあります。吉村さんは「山で倒れている木を気に入り、拾って思いを込めてきれいに磨けば、それは銘木ともいえる」ともおっしゃいました。値段が高い珍しい木をふんだんに使えばいいのではなく、取り合わせを考えることが大切だと教わりました。
松文さんではモデルルームとして茶室を設けておられます。受講者が吉村さんを囲むように輪になり、お話を聞かせていただきました。屋根の高さが決まれば、柱の高さや太さもおのずとそれに合うように決められ、バランスが大事だというお話は何ごとにも通じる話だと思いながら聞いていました。

昨年に続き、スタッフとして二度目の参加でしたが、昨年にもましてますます銘木や数寄屋の奥深さを感じました。また、それぞれの木の一番の特徴を見極めることは建物を評価することに似ていると感じました。良材を使っている、匠の技が活かされている建物もそれだけの評価ではなく、時代性や文化性も含めて、その建物の一番の見どころを見つけることが大切なのかもしれないと思いました。(吉)