3日目午後は、ミュンヘンからパッサウ(Passau)に移動しました。パッサウは、宮本輝の「ドナウの旅人」で印象的な場面に登場する街です。バイエルン州の東部に位置する人口約5万人のコンパクトな都市で、オーストリアとの国境に接し、ドナウ川、イン川、イルツ川の合流点にあり、古代のローマ時代から続く水運の要衝です。
図らずも現地ガイドは、3川の合流する名前どおりの河合さんでした。河合さんの案内してくれた、高台から見ると、この街は、パステルカラーの可愛い建物が並んでいて、いつまでもたたずんでいたい気持ちになります。対岸のドナウ川左岸の丘陵には司教の居館フェステ・オーバーハウス(13〜16世紀建設)がそびえていて、カソリックの権威を示していたようです。街の中心部にある聖シュテファン大聖堂のパイプオルガンは、世界の教会オルガンで最大のものであるされています。夕方で、見学時間が終了していましたが、河合さんの顔で入場させていただきました。また、坂道を下っていって、ドナウ川に面した市庁舎の壁には、かつての洪水の際の水面の高さの記録が残っていました。
宿舎のIBBパッサウは、パッサウ駅の正面に位置し、ホテルの裏手の部屋から見える夕日に照らされたドナウの流れが心を落ち着かせます。夕食前に散歩を兼ねて、夫婦で近くの商店街でショッピングを楽しみましたが、とても品のいい街でした。
このホテルでの夕食は、メインディッシュが川カマスのクリーム煮リゾット添えでした。このときテーブルについたのが、シュタンゲン(Stangen)ブロート(生地を薄く延ばして棒状に巻き上げたパン)でした。クープが入っていますが、もちろん生地には、ライ麦が練り込まれていて、薫り高いパンでした。
また、翌日の4日目朝は、菓子パンに手を出してみました。生地の半分にショコラが練り込んであしっとりした口当たりです。もう一つは、トッピングのアーモンドの上からチョコを垂らしたブリオッシュですが、甘さ控えめでした。
とても静かで、きれいなこのパッサウ地を再び訪れたいという観光客が多いそうですが、この美味しいパンも思い出に残ります。