さくらびレポート180〜11月12日・橋本光明信州大学教授講演をお聞きして

櫻ヶ岡中学校の中平です。11月12日、長野市で長野県美術教育研究大会長野上水内大会が行われました。過渡期にある美術教育とそれに関わる団体として、どう変革していくのかそれが課題となった大会だったと思います。また、長年、長野県の図工美術教育だけではなく日本の図工美術教育を引っ張ってこられた信州大学の橋本光明先生がこの3月で退官されるということで、信濃教育会館大ホールにて講演をお聞きしました。そのお話をお聞きし、とても刺激的だったのですが、「こと」と「もの」についてのお話が特に私自身勇気付けられましたので、メモですが掲載します。また、私個人の所見も曲解しているかもしれませんが載せます。

・美術教育では物を作るのではなく、「こと」を作ることが大事。

 これは、つまり、中学校美術教育で言うと、「おもしろい作品作れよ」と生徒に言うのではなく「面白いことやれよ」なんですね。小学校で行われている造形遊びは、まさに「おもしろいこと」の結果として「おもしろい作品」が生まれている。小学校と中学校をつなげるキーワード。
 「ものつくり」と言われているが、技術だけのものつくりは、ニセモノだ。まずは、「おもしろいことを考えるヒト作り」があり、「面白いコト」が生まれ、その後「モノ」が作られると思う。
 例えば、自動車。いきなり自動車を作ろうとしたのではない。「あの遠くの土地まですぐいけたらおもしろいだろうなあ」と、その時としては奇想天外と思われる「面白いこと」を思いつくヒトが出現。その後「なんか乗り物みたいなものがあったら実現しそう」と発想されたコトが出現。その後、技術の進歩で自動車という「もの」が生まれる。全ては「おもしろいヒト」が出発点。

とがび、さくらび、なぜ生徒たちはよく動くのか。そして、なぜ作品が面白いのか。

それは、「面白いこと」を作り出そうとしているからではないでしょうか。「いい作品を作れ」とか「おもしろい作品作れ」というのではなく、面白いことをやっている結果が「面白い作品」につながっているんだと思いました。

「生徒の発想力がない」「おもしろい作品ができない」と悩む先生がいますが、題材を「おもしろそうなことができて、結果として面白い作品が生まれてくるだろう」と予想できる題材に改良したらどうでしょうか。
それが、もしかすると、生徒たちの活動を活発にし、小学校と中学校のつながりを生むかもしれません。そして、その「こと」つくりから始めることで、面白いことを発想する「ひと」が生まれると思います。

最後に、橋本先生が繰り返しおっしゃっていたこと。「失敗を恐れずまずは、どんどんやっていきましょう」。