さくらびレポート199〜中学生もわかる「もの作り」と「アート表現」の違い?

櫻ヶ岡中学校の中平です。昨夜、テレビで全国の高等専門学校の生徒たちが作ったロボットが対決するという番組を見ました。二足歩行のロボットや、ジャンプするロボットなど技術の高さを感じました。

わが中学校の3年必修授業での場面。ロボコンなど数々の県内賞を受賞したある生徒が、「夢」というテーマで卒業制作していました。彼が作っているのは、とても精巧にできている階段。これからの自分が夢実現するために上っていこうとする階段だと思われます。彼が私に相談しに来ました。「ここまで作ってしまった。このさきどうしたらいいかわかりません。」一番困る質問です。私も一緒に悩みながらあれこれ考えました。「窓の所に奥階段ということにして、ここから先どうなるんだろう、という表現にしたらどうか」「・・・・・」「色々な場所に階段を置いて、写真を撮り、写真を展示するというのはどうかな?」はあ・・・・・・・・」
こういった雲を掴むような対話のあと、私はあることに気づきました。彼は「もの作りという着眼点で、階段というものを作っているんだ。ならば、もの作りと表現の違いを伝えたほうがいいんじゃないか」と。
 そして、私は、彼にこう語りました。「実際に効率よく安全に運転できる自動車を作りために、タイヤを丸く作るのがもの作り。わざと四角いタイヤを作って、物事がうまくすすむには苦労が必要だ、ということを伝えるのがアートであり、表現なんだ」と言うと、彼は「ああ、そういうことですか!」と言いました。 
 その後、会話の中で発想が広がり、「ずうっと続く長い階段を作って、人生は長いということを表したかったけど、材料費がかかるので、所々階段が切れていたりして途中ジャンプしなければ向こうに行くことができないようなものも考えました。」という方向に今のところなっているようです。
 「もの作り」がはやっているけれど、この「アート」との違いを、もっと伝えていきたい。