中国に抜かれ たじろぐな 生活の質に軸足を

米ハーバード大 サンデル教授より

世界のGDPランキングにたじろいではいけない
英国やフランス、カナダで自国の経済力が世界で何位か
知っている人が何人いるのか
成熟した繁栄で満足している

ただ経済指標にとらわれる不幸は他の先進国に共通している
ここ30年ほど経済主導の米国モデルがグローバル化して
各国で経済が政治を圧倒してきた

政治は事務的になり、公共善や社会正義の増進はおろそかになっている
しかし本来、こうした問題が政治の中核であり
民主主義社会で活発な議論が必要なはずだ

経済主導の議論は政治を貧困にする
日本は経済以外に視野を広げるべきだ
経済政策は重要だがGDPの最大化で終わってはだめ
社会正義や公共善、生活の質、健全な社会づくりが議題にならなくてはいけない

日本では核家族化が進み、村落共同体は崩壊
高齢化も進んでいると聞く
まさにここを議論の中核にするべきでは
共同体の意義付け、世代間における「正義」の違いは
民主主義社会が無視できない問題だ

逆に多くの人が自分の世界に閉じこもりつつある
携帯機器に没頭し世界とつながっているつもりが身の回りから遮断されている
ネット上で自分の好きなニュースや意見にしか目を向けない
米国ではケーブルテレビニュース局も保守、リベラルに分かれ
異なる意見や新しい見方にさらされる機会がどんどん減っている

私の講義や本の狙いは種々雑多な意見がせめぎ合う
健全な討論モデルの提示だ
新聞などのメディアでも読者が予想しないような
目新しい視点を示すことが大事だ
読者を一つの意見に安住させてはいけない

<パンジーが色とりどりです>