国立社会保障・人口問題研部長 阿部 彩より
統計では日本の子どもの7人に1人が貧困状態にあるというが
リーマン・ショックなどの昨今の不況で突然起きた現象ではなく
1980年代以降徐々に上昇しており
問題が一過性ではなく構造的であることを意味します
厚生労働省が2009年に公表した貧困率15,7%という数字も
国内の景気がまだ良かった07年のデータを基に算出しています
なぜ、これまで目立たなかったのか
現代の貧困は見えにくいのです
かつては「貧困」というと食べ物がなくて飢え死にしたり
家がなくて凍え死んだりといったイメージだが
現代の貧困はそうした様相とは異なります
たとえば社会見学や理科の実習に必ず休む児童によく聞いてみると
家が貧しく実習費用を母親に欲しいといえない事情があったり
給食費未納問題も経済的に困難な家庭も含め親の怠慢だと
自己責任に帰してしまっているのです
どうすれば貧困は見えてくるのか
実は大抵の人はすでに貧困の概念を持っています
例えば7歳の子がランドセルが買えない、運動靴でも文房具でも
子どもたちが当たり前に持っているものを持てない状態
これこそが現代における貧困です
貧困は子どもたちの成長にどんな影響を与えるのか
社会において当たり前とされる生活が送れず
普通の子どもが得られるチャンスや選択肢が与えられないと
度重なる挫折は子どもの自尊心を傷つけ将来の夢や希望をも奪っていき
子どもたちの心を蝕むことこそ最も恐れるべきです
貧困とどう向き合うべきか
根本的には自己責任論を基本とした米国型の小さな政府を目指すのか
北欧型の福祉国家を目指すのか
例えば北欧や大陸ヨーロッパは幼稚園から大学まで学費は無料です
これは教育は金持ちだろうがそうでなかろうが
機会を社会が保障すべきだという同意に基づいています
貧困は自己責任の問題として追認してしまうのか、否か
私たちはまさに岐路に立っているのです
・・・・・・子どもの問題だけは自己責任論では論じられないと思います
なぜなら子どもは生まれる親も家も選べないからです
子ども自身の努力ではどうしようも出来ない現実の重さを
小さな子どもの肩に背負わさなければならないとしたらあまりにも理不尽な社会です
その付けはいつか私達に必ず回ってくるのではないでしょうか・・・・・・・
<オキザリスも寒さに強い花です>