東98系統が通う街、東京タワーと万才湯

都バスには意外に長い距離を走る路線があります。東98系統(東急バスと共同運行)は多摩川を望む世田谷区等々力から、東京駅までを走破する長距離の代表選手です。等々力操車所からは目黒通りに出ると、都立大学で東横線と交差して、まっすぐ目黒に向けて走ります。鉄道から少し離れた幹線道路を走るため利用者もそこそこあって、本数も少なくありません。朝はさすがに道路が混雑するからでしょうか、以前は首都高速を経由していたのは、とてもめずらしい存在でした。普段はそう使うわけではありませんが、あの日比谷線事故の時など、鉄道が事故などで不通の時は助かります。時間はかかりますがゆっくり座れて楽ということで、会社の帰りなどあまり急がない時に使う人もいるようです。路線バス全体が銭湯と同じような境遇で、お客さんが減り、路線も縮小傾向にあるのですが、がんばれ東98系統。

この東98系統は目黒から慶応大学、東京タワーの近くを通って霞が関、東京駅と都心までやってきます。目黒駅から郊外側では大鳥神社の不動浴場、元競馬場の和泉湯など何軒か銭湯がありますが、都心側にも銭湯があります。それは田町駅、三田駅のちかくの飲み屋街にある万才湯です。
飲み屋街に「ゆ」とかかれた行灯看板を目印に細道に曲がると玄関の前に出ます。木の部分が多い古風な造り、脱衣場の男女の仕切りは木の引き戸です(開きはしませんが)。浴室の脱衣場寄りに吊り橋の絵があって、レインボーブリッジのようですが、ちょっと見えにくい。場所柄広くはなく、また人気があって、10個のカランは常時満員で、中央の長椅子は掛けて順番を待つのでしょうか。お湯はいい温度なのですが、狭く深い方はものすごい熱湯でとても入れるものではありません。
お湯からあがった帰り道、振り返ると、ゆの看板と並んで夜空に東京タワーのオレンジの灯りが見えました。昭和30年代を象徴するようなこの光景、いつまで見ることができるでしょうか。
万才湯 港区芝5−23−16 15:30から24:00 土曜日お休み JR田町駅、都営三田駅から5分くらい