今、私たちに出来ること……

東北地方太平洋沖地震で被災された方々に、
心よりお見舞い申し上げます。

あれだけの災害に襲われながら、
沈着冷静な行動をとられている方々の凄さに驚きます。

寒さと飢えと人間がいちばん耐えにくい状況にも、
じっと耐え忍んでおられる方々に、
日本人として誇りを覚えます。
もう少しの辛抱だと思います。

一方で、
今朝の神戸新聞の1面トップの見出し(14版)は
『制御室に常駐不能』というものでした。
(それも巨大な見出し明朝を白抜きにしてあります)
エッ、と慌ててTVをつけました。
どこにも、そのような報道はありません。

こんな報道をして、いったい何になるのか?
思わずメディアの恐ろしさを感じてしまいました。
阪神大震災の時には、
沈着冷静な報道で活躍されたと聞いている神戸新聞がです。

阪神大震災で被災経験のあるわれわれは、
その経験を生かすべきときです。

同じく被災経験のある神戸女学院の内田樹教授がブログで、
次の3つのことを挙げておられました。

 1.「寛容」 
 今は国民すべてが被災者の救援と、被災地の復興にあたるべき時であり、
 他人を責めるような言葉を使うべきではない。

今は、義捐金を募るとか救援物資を送るとか、
それぐらいしか出来ないし、それ以外のことをすると、
返って、邪魔になるのです。
出来るだけ邪魔にならないようにする、
それが、私たちに出来る唯一のことかもしれません。

 2.「臨機応変」 
 規則に縛られず、
 救援を先ず第一に置いて行動すべきということでしょう。

被害が軽度ですんだガソリンスタンドの方でしょうか?
灯油を10リットルずつ無料で被災者に配っている方が映りました。
「社長に怒られるかもしれませんが……」とインタビュに答えていました。
阪神大震災のときはダイエーがいち早く
日用品の廉価販売に踏み切ったことを思い出します。

 3.専門家への委託
 われわれは、原子炉の制御室に入って、
 活動できるわけはないのです。
 政府や自衛隊員の代わりも出来ません。
 専門家に任せるべきだ、ということでしょう。

最悪の事態を回避しようと決死の覚悟で作業されている発電所の方や
(大げさに言えば、日本の命運を握っています)、
救援活動に不眠不休で携わっている方が、
活動しやすい環境をメディアを筆頭に作るべきだ、と思います。

いずれにしろ、敗戦から66年。
試されているのは、戦後、日本が営々と築き上げてきた
行政システム、社会経済的な仕組みや
歴史から学んだ経験知の実力が問われているのでしょう。

廃墟から日本を立て直してきた
先輩たちの言葉を掘り起こし、耳を傾けながら、
今ある場所で今やっている仕事を力いっぱいやること、
それが被災者の方々に連帯を示す最良の方法のように、
私には思えます。