以下は、教育行財政研究所の中村文夫さんの提案です。
東日本大震災の復興に当たって公教育分野での緊急提案
2011(平成23)年3月11日の東北地方太平洋沖地震とそれによって引き起こされた津波、福島第1原子力発電所の事故と続く東日本大震災によって被災された東北・北関東地方の方々のことを思うと、胸が痛む。迅速な復旧が必要であることは論を待たない。また、本格的な復興に当たっては地域の主体的な判断を重んじて、それを支えるようなしっかりとした対応が必要である。山本有三の戯曲「米百俵」を思い出す。戊辰戦争で灰燼に帰した長岡の話である。見舞いの米百俵を生活に回さず、学校の建築にあてた小林虎三郎や町の人びとの未来にかける心意気が描かれている。
菅直人首相は4月1日の記者会見で「すばらしい東北、日本をつくるという夢を持った復興計画を進める。世界で一つのモデルになるような新たな街づくりをめざしたい」と力強く述べた。地元の意見を尊重しつつ、学校の復興に当たっても世界で一つのモデルになるような新たな学校づくりを目指して欲しい。地域の復興のシンボルとなるような未来にかける心意気を感じさせる学校環境が望まれる。公教育の復興に当たって包括的な公教育の地域自主権の創設と公教育の全面的な無償化を柱とする下記の提案をしたい。
<提案>
1、 公教育運営の地域主権に立った具体的な構想を策定すること
2、 地域の市民参加の枠組みを東北・北関東地域に先行的に作ること。
3、 教え込み型の一斉授業から体験的・自主的な学習への教育改革を公教育の復興の中心に据えること。
4、 学校環境整備に当たっても、オープンスクールとして地域復興と一体化した造りを検討し、地域の中核的な施設として設計していくこと。
5、 学校の施設は公教育の施設のみならず、避難所など地域の公的な施設としてさまざまな機能をもつ複合施設とすること。
6、 このような改革を実現するために、包括的な公教育の地域自主権の創設を行うこと。
7、 公教育の全面的な無償化に向けた教育特区を東北・北関東地域に設定すること。
8、 東北・北関東の地域での貧困が深刻になることも想定できる。今回の東日本大震災では貧困家庭をはじめ社会的弱者への援助を重点化すること。
9、 就学援助の仕組みを拡大し、教育機会の実質的な保障を実施すること。
10、 災害時の不休不眠の活動を担ったのは、公務員とボランティアであったことを踏まえ、学校職員を含めた地方公務員の拡充を実施すること。
2011年4月2日
教育行財政研究所(中村文夫) (3223734101@jcom.home.ne.jp)