白石孝さんの提案です。被災地復興に向けては被災者の生活を支援し、雇用をつくり、維持しながら、経済産業省や経済界の主導ではない、地元からの発想と地元にお金がまわる仕組みをつくることが求められています。さまざまな提案を持ちよりましょう。
日本の復興に向けた協同のテーブル運動の提案(2011年4月6日)
1 認識
今回の災害は、いろいろな意味で第二次世界大戦以来の事態である。大空襲や原爆で市街地が焦土と化し、計画停電が実施されたことなど、戦後65年の間にはなかったことだ。つまり、復興もそのレベレから考える必要がある。当面の最重要課題である被災者、避難者支援と平行し、以下の検討を急ぐべきである。
2 被災者、被災地支援と平行して日本復興計画を立てる必要がある〜堺屋太一の提案を参考に
これまで、私は作家堺屋太一氏について全く興味がなく、その主張についても読むことすらなかったのだが、今回の災害に関して積極的な発言をしていることに気がつき、『週刊現代』(3月末発行)『週刊朝日』(4月8日号)の記事を読んだ。以下がその要旨だ、参考になる主張である。
・関東大震災(9月1日)後に「帝都復興院」(9月27日、後藤新平総裁)
・阪神、淡路大震災では「復興委員会」
・復興院の内容 ①被災者生活支援、復興 ②産業 ③文化、楽しみ
・東京の一極集中の廃止 → 地域主権型道州制 *「規格大量生産社会」からの脱皮
・経済産業、国土交通、厚生労働、文部科学、農林水産、総務省電波管理局を分権化
・コミュニティ機能を維持しつつ地域全体の移転
*1889年奈良県十津川村が大水害→北海道新十津川村(2,500人)
*例)陸前高田市 漁港、港町を維持しながらエコタウン化
・原発政策→エネルギー政策の転換とライフスタイルの転換(省エネルギー社会)
・モノづくり重視の近代工業社会から、知恵に価値を求める「知価社会」へ。
3 白石孝の提案
(1)被災地の復興をどうするか
津波被災地域は、①人の住まないエリア ②堅固なシェルターを配置して、旧来に近い再建 ③全部を中高層の堅固な住宅、事務所に ④仙台南部では、海岸線と平行に建設された高速道路(仙台東部道路)が避難場所と津波からの防波堤の役割を果たした、その教訓
(2)原発汚染地域
①元の居住地に戻れるのか、長期に避難するのか、半永久的に非難するのか
②半永久的とすれば、集団移住を視野に入れる
③自治体、地域丸ごとの移住か、一定のグループでの移住か。全国の「限界集落」との関係を考慮できるか。
(3)一極集中の都市構造を改造することは可能か
①「帰宅難民」の発生、節電による交通機関のストップや間引きは、一極集中による問題。一気に首都圏、名古屋、阪神を分散化は出来ないが、大都市圏の中でも完結型地域をめざすことは中長期的な観点からは可能ではないか。
②地産地消、真土不二のあり方
(4)原発汚染とTPP
原発汚染の農産物や穀物よりは、「米国や中国産のモノの方が安全」だから「TPPを推進しよう」という世論が形成される危惧がある。
(5)脱原発と代替エネルギーの可能性はどうか。省エネ社会を創造するプランニング。
(6)産業構造の転換
(7)以上を総合的に論議、検討、政策化するプロジェクトを
これは大連立ではなく、脱政党の(政党主導ではない)司令塔機能をもったプロジェクトがいいと思う。
①政府 ②民間シンクタンク ③大学、専門分野 ④当事者 で協同のテーブルを作ろう。
4 節電と自粛
主に関東圏で起こっている節電と自粛について、とりわけ公共団体が過剰に自粛を煽っていることに深い危惧を覚えている。とりわけ公共施設の閉鎖や使用中止、花見や歓送迎会の中止、自粛はむしろ経済を交替させ、人びとの気分を落ち込ませるマイナスの影響が出ている。一部のマスコミや識者もこれに触れているが、今はむしろ経済を活性化させ、気持ちを高める、そういった取り組みが重要ではない
か。
白石 孝(荒川区職員労働組合)
03−3806−6308/090−2320−4908
Eメール:taidou@tcn-catv.ne.jp