被災者の自治体による臨時的雇用

 東日本巨大地震において被災した人々の緊急雇用がきわめて重要ですが、以下はネットで検索して得た自治体雇用の現状です。キャッシュ・フォー・マネー(CFW)の考え方にもとづいて、被災現地の緊急雇用がすすむことを切望します。

■ 鳥取県・福井県
 県内に避難してきた被災者を臨時職員として雇用することを決めた。両県は、県内の自治体などにも協力を求め、最大で鳥取県は約200人、福井県は約100人を雇用したいとしている。
 被災者の仕事を確保し、生活再建を支援するのが狙いで、両県では雇用期間を6か月〜1年と考えているが、被災者の事情に応じて更新にも配慮する。
 鳥取県は、被災地への救援物資の発送や人材を派遣する際の現地との調整を担当する業務での採用も考えている。同県の臨時職員の場合、賃金は月額11万4800円。河原正彦・鳥取県災害支援対策本部長は「被災者のニーズをどの職員よりも把握している。適切な支援をするうえで貴重な戦力」と期待する。
 福井は100人 一方、福井県は国の緊急雇用創出事業で4、5月に募集する計51人について、被災者を優先的に採用する。臨時職員としての雇用のほか、県内の市や、市から業務委託を受ける企業にも呼びかけ、全体で100人程度としている。県が募集する有害鳥獣の分布調査や、森林伐採などの臨時職員の場合、賃金は日額5500〜1万3800円。
(2011年3月31日 読売新聞)

■ 双葉郡の8町村
 福島第1原発事故によって避難圏(原発から20キロ以内)に入っている福島県双葉郡の8町村を対象に、仕事を失った避難者を役場で臨時雇用する取り組みが9日始まる。県の緊急雇用創出基金事業を活用。各町村が財政負担することなく雇用を確保し、役場機能の充実も目指す。
 対象になるのは大熊、双葉、富岡、浪江、楢葉、広野の6町と葛尾、川内の2村。震災や原発事故で仕事を失ったり、内定取り消しになったりした避難者らを、各役場の「事務補助員」として臨時雇用する。
 国は震災後、緊急雇用創出基金事業に「震災対応分野」を追加、対象となる年齢要件や業務内容を大幅に緩和した。今回は年齢制限などはなく、避難所のパトロールや清掃、義援金の給付事務補助など幅広く役場の仕事を担ってもらう。
 県は2011年度の緊急雇用創出基金事業費(83億円)から1億9000万円を支出。人口1万人以上の富岡、大熊、浪江の3町に3000万円ずつ、他の5町村に2000万円ずつ配分する。当面、9日からの3カ月間で500人の雇用を目指す。雇用条件は各町村が決める。
 福島労働局によると、南相馬市と田村市の一部を含む避難圏内には約2700の事業所があり、パートやアルバイトを含む労働者数は約3万3000人。そのほとんどが震災後、仕事を失ったとみられる。
 県は「避難者の雇用確保は最優先の課題。震災後の対応に追われてきた各町村の職員は、心身ともに限界に近くなっている。移転などで弱体化した役場機能の回復にもつなげたい」と話す。県は今後、いわき市や南相馬市でも臨時雇用の取り組みを始める予定。
(4月9日 河北新報)

■ 北茨城市
 福島第一原子力発電所の事故の影響で、出漁を見合わせている茨城県北茨城市で、漁業者などが集まって対策会議が開かれ、市長は一部の漁業者を臨時に雇用する方針を示しました。
北茨城市の大津漁協は、マイワシの水揚げが年間およそ1万8000トンと全国有数の漁獲量がありますが、福島第一原子力発電所の事故の影響で、出漁を見合わせる状態が続いています。9日は漁協に所属する漁業者や北茨城市の豊田稔市長が参加して、今後の対策などを話し合いました。この中で、漁業者は、千葉県の銚子沖で行っていた漁でも市場での売値が通常の半値以下に落ち込んで、現在は出漁を見合わせていることや、今後はイワシ漁を行う場所が福島県沖などさらに北に移動するため、全く魚を取ることができなくなるおそれがあると不安を訴えました。これに対し、北茨城市の豊田市長は漁ができなくなった一部の漁業者などの生活を支援するため、市が1年間、臨時に雇用することや、来週にも菅総理大臣に早急な事態の収拾を要請する方針を示しました。会議のあとの会見で、大津漁協の鈴木将之組合長は「地震や津波は天災でしかたないが、今回は明らかな人災で、漁業者の生活は立ち行かず大きな怒りを感じる。国や東京電力は早急に事態を収拾するともに、しっかりとした補償を行ってほしい」と述べました。
(4月9日 NHKニュース)

■ 釜石市
 岩手県釜石市の野田武則市長は、がれき撤去の災害復旧事業などで被災者1000人分の雇用を創出すると発表した。
内訳は、がれき撤去で410人、仮設住宅の整備や被災住宅の補修で100人、被災関連の事務処理で50人、国の緊急雇用創出事業で115人、そのほかの保健福祉事業などで325人。市内で、14日にがれきの撤去作業が始まるのに伴い、災害復旧事業を手掛ける業者、団体に委託する形などで順次、雇用していく。
市は、被害が大きい土地の利用方針などをまとめた「市復興まちづくり基本計画」を策定、10月にも計画に基づいた復興プロジェクトに着手する。5月までに、市内の企業や各種団体、国、県の関係者でつくる「市復興まちづくり委員会」、都市計画や災害の有識者らで構成する「市復興プロジェクト会議」をそれぞれ設立する。
(2011年4月13日 読売新聞)