さくらびレポート23〜クリエイティブの源流

櫻ヶ岡中学校の中平です。私の今年度の美術教育テーマは「いかにクリエイティブになるか」ということです。
4月、一年生の授業が始まりました。指を一本かたどりする「ビックリ・フィンガー」という活動を行う中で、様々なクリエイティブの源流に出会いました。

ビックリ・フィンガーという題材の優れているところは、指が誰でもとてもリアルな石膏作品として完成できるということ、作品を掘り出すというプロセスがワクワクするということです。そして、更に、様々な段階で生きている中学一年生が「はまる」であろう「ねちゃねちゃぷるぷるさくさく」というような材料に触れることが出来る、ということです。別の言い方をすると、指を作ることが出来るという楽しさプラス、自分で遊びをクリエイトできる材料が使われている、ということです。

写真をご覧ください。石膏が固まるまでの時間、石膏を捨てるためのバケツに集まってきている男子。何をしているかというと、石膏を砕いたり、かたどり材を割り箸で突き刺して団子のようにして遊んでいます。石膏を粉々に砕いて遊んでいる生徒もいます。同じあそびをしていたかと思うと、次の瞬間には、全く別々の遊びをしている。面白い物ができると教室中を回って宣伝してくる。遊びをクリエイトしています。これが、クリエイティブの源流、何か面白いことをやってみようというクリエイティブの始まりだと思いました。

「かたとって」という商品名のかたどり材は、プリンのようにぷるぷるしていて、カッターでさくっと切断できます。この感触にはまる生徒は多く、カッターで切ったり、粉々にしたり、行為が止まりません。次々にユニークなカッターの使い方をクリエイトしています。

かたどり材には興味がない生徒も、自分が作ったビックリフィンガーの表面や側面をカッターで削り、模様をつけようとしています。「入学して、自分の意思で何か作り出そうという気持ちが溢れ始めているんだなあ」とタイミングの良い題材であることを実感しました。この時期にスケッチのやり方とかデッサンの仕方などという授業も良いですが、ビックリフィンガーのような、表現段階、表出段階それぞれの生徒の段階にあった題材も適していると思いました。

自分のやりたいことや、楽しんでいることからクリエイティブは生まれる。一年生だけでなく全ての中学生にとって大事にしなければいけないことだと思いました。