東日本大震災による避難生活が長期化する中で、環境の変化に弱い認知症の人の症状が悪化するおそれがあるとして、日本認知症学会が、対応の方法をまとめたマニュアルを作りました。
マニュアルは、認知症の人の家族や介護職向けの「介護用」と、被災地で診療に当たっている医師や看護師向けの「医療用」の2冊で、日本認知症学会が作成しました。このうち、介護用のマニュアルには、興奮や妄想、はいかいなど認知症の代表的な症状が出たときに周りがどう対応したらよいか詳しく記されています。
中でも、反応が鈍くなったり、会話にまとまりがなくなったりする「せん妄」と呼ばれる症状については、わずかな環境や体調の変化でも起こりやすいとして注意を呼びかけています。
具体的には、脱水や発熱、便秘などによって起こりやすいため、食事や水分を十分にとり、認知症の人が安心して排尿や排便ができる環境を整えることが重要だとしています。
また、認知症の人はじっと座っているだけでは脳の機能が低下するおそれがあるため、片付け作業など日課を作り、症状が進まないよう注意してほしいとしています。
このマニュアルは、日本認知症学会のホームページでダウンロードできるほか、被災地の災害対策本部などに冊子が配られているということです。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110504/k10015696861000.html
◆日本認知症学会のHP
http://dementia.umin.jp/