「野菜道」を学びました尾崎零さん。

昨年6月から開始した「都市で学ぶ農楽講座」の最終講義を17日(金)に行いました。
 当日の受講者23人。講師は「日本有機農業研究会」の幹事の尾崎零さんでした。尾崎さんは今回が4回目の講師です。最終講義でもあり「日本農業の未来を信じて」と題し、思いを語っていただきました。

 一貫して尾崎さんは、自分の立つ位置(軸)を明確に持っておられ、その立場から、今もこれからも何ごとについても「自立」が原則を語られ、それを前提に日本農業をめぐる過程を事例を交えて説明され、有機農業が生まれた背景とその重要性について、とくに熱く説かれました。

 1960年の日米安保改定の翌年に制定された「農業基本法」は、その前年に池田内閣が掲げた「所得倍増計画」という経済成長政策重視の政策である社会資本の充実と産業構造の高度化を旗印として、①大型化 ②機械化 ③産地化・単作化 をベースにしたことが、今日の自給率の低下と農業分野の衰退をもたらした要因と述べられました。また、農業近代化が農薬と化学肥料万能の時代を招いたと批判され、反面教師として「有機農業が」誕生し、これこそが農業の真髄であるべきと主張されました。

 農薬と化学肥料は生態系を破壊することを前提に成り立つもので、生態系の持続維持のためには生命系を基軸にした有機(自然)農業こそが必要不可欠であり、自分の生き様と照らして自信を持って世間に言えると語られ、受講者に感銘を与えました。

 有機での自然農法と自然農業があるが、前者は技術的でおのずから限界が生じる。
自然農法は世界観があり、その本質は①社会にとって ②環境にとって 大きな意味を迫るものであると述べ、最後に、「生きていく上で何が大切か」「生命にとってどうなのか」を価値基準において個の自立を図っていくことで、社会が変わるのではないか。そこに有機農業の優位性があると締めくくられました。

 有機農業のあり方やその手法などミクロな話でなく、マクロな視点から有機農業が持つ社会性あるいは人が持つべき人生観を語られた講座で、最後の講義の締めくくりとして、日々の生活を問い直すべき宿題が受講生に迫られることになりました。

 なお、これまでの講座は、すべて再録して報告集としてまとめる作業を現在、続行中です。19回の講座の受講ありがとうございました。3月16日(金)、 服部和雄先生の番外編を予定しています。