世田谷区池尻に残る軍馬関係の建物と月の湯

目黒川は小さな崖下のようなところを流れているので、緑道の帰りは崖の上からの景色を見ながら戻ることにしました。階段を登ったところの住宅の法面に「馬神」の碑があります。このあたりの丘陵一帯は、戦前騎兵第一連隊や近衛輜重兵大隊があった場所で、軍馬を祀る碑のようでした。また道路沿いにはコンクリートの不思議な形をした倉庫のような建物が並んでいます(写真)。輜重兵大隊の建物を倉庫やスタジオなどに使っているようです。
目黒川あたりの低地を挟んで、南側の丘陵のふもとに月の湯があります。その途中、栄養専門学校のお隣に並ぶ倉庫は、一見新しいのに、天井の構造などちょっと古い感じで、調べると旧陸軍の糧秣廠の倉庫ということです。「まぐさ」を作る工場の倉庫ですね。先ほどの丘の上や三軒茶屋に近い下馬には輜重兵連隊、野砲兵連隊などたくさんの馬を使う部隊があって、今の世田谷公園のあたりまでは演習場になっていました。この倉庫は、演習にきた馬のお昼ご飯を準備していた倉庫かもしれません。

栄養専門学校のところから細い小道へ入ったところが月の湯です。きれいな和風建築で、お年寄りが次々に来られて賑わっています。中には玄関のベンチに腰掛けて、風呂上りの缶ビールを一杯、笑顔で帰宅の途につく方もいらっしゃいます。
フロント方式ですが、脱衣場はみごとな格天井、お庭が広く、L字型に脱衣場の側面にも伸びています。浴室は伝統的な高い湯気抜きのある構造、男女にまたがるペンキ絵の富士山は少し控えめで、空と海が大きな面積を占めています。浴槽がちょっと浅く、普通に入ると肩が出てしまいます。むしろ少し仰向けになって、富士山を見上げるとちょうどいい感じです。
月の湯世田谷区池尻2−18−13 15:30〜23:00 金曜お休み 田園都市線池尻大橋駅 徒歩4分