昨晩、自宅で夕食を食べてますと、
たまたま両親が、なんとなーく観ていたのが、
大学生の頃、芸大に行きながら
中国語をがんばって勉強していた頃、『初恋の来た道』
(チャン・イーモウ監督、チャン・ツィイー主演)は
映画館で観たけど、確かこれは
観たいと思ってて、結局観ていなかった映画だったと思い出し、
そさくさとゴハンを食べて、我が部屋に篭って
じーっと観ていました。
物語は、中国の山間部の、車も通れない僻地の村々に
郵便配達をしていた父親が、長年の無理がたたって
足がわるくなってしまい、24歳の息子に
自分の職業をゆずる為に、
一度だけ2人で、2泊3日・一日40キロの、配達の道のりを
大きなリックサック(僻地の住民宛の手紙が入っている)を背負って歩きながら、
父親が息子に、郵便配達の仕事(=志事)を
教えていくというもの。
父親は、この職業を長年していた為に、
家を留守にすることが多く、しかも寡黙な父だった為、
息子は父を嫌い、敬遠していたけど、
二人で一緒に<旅>をすることによって、
息子は、父親が、いろんな人たちに尊敬され、信頼され、
そしてその人たちにとって「なくてはならない人」なんだということが分かり、
だんだんと、息子と父親は心が打ち解けていき、
父親の職業を、心の底から継承しようと固く決意します。
(はじめは、「郵便配達員=公務員やから収入が安定している」と
安易な気持ちで引き受けた)
老いて足が悪くなった父を、
川を渡るために息子おぶってあげて、ゆっくり歩く姿で、まず号泣。。。
息子:「父って、こんなに小さかったっけ?いつのまに、
こんなに小さく、軽くなんたんやろ・・・?」
父:「(幼少の頃、息子を肩車してた映像を思い出し)いつのまに、
こんなに大きく、たくましくなったんやろ・・・?」
二人の、最初で最後の2泊3日の旅が終る直前、
5年前、10年前、15年前くらい・・・と、
配達を終えた父親が、妻と息子が出迎える自宅に帰る瞬間を
走馬灯のように思い出すシーンは
最高MAXで号泣。。。
・・・男同士だからでしょうか?
とにかく、映画全体に、会話というものが少ない。
登場する素朴な田舎の人たちの顔の表情や
美しい中国の山間部の風景、素朴な音楽など・・・
とにかく、出来る限りムダなもの(細かい言葉や過度な演出)をそぎ落として
淡々と展開されるのが、いい。
そしてどこか「なつかしい」と思える、親近感の持てる不思議な映画です。
派手&大胆なアメリカ映画、繊細&緻密な日本映画もいいけれど、
こんな素朴で地味な中国映画も、素晴らしい。
大げさにも背伸びも、美しく見せようとしない・・・
「ありのまま」を切り取り、映像化したって感じの映画。
実は、よしこちゃん。こんな映画が一番好きだったりします(^^)。
(最近とんと、この手の映画って見かけなくなりましたが・涙)
どうも人間って、「欲」があるので、
「これでもか〜」って感じで、
どんどん足して、プラスにしたくなります。
それは、それでいいのですが、、、
だけど、この映画って、
どんどん除去して、マイナスにして、
本当に必要なものしかないように思えます。
きっと今の中国人も、日本人も・・・世界全体が
こんな映画(価値観)を密かにですが
今も、求め続けているのかも知れませんね。
また、この映画は、親子(人と人と)の絆がテーマのようです。
目の見えない祖母宛に、孫がたまに、
白紙にお金を包んで送って来たのですが、
何も書かれていないのに、配達員の父は、
「おばあさん、お元気ですか・・・?云々」と
おばあさんのために「やさしいウソ」をつきます。
今の中国人って、めっちゃ自己チューで
他人や他国の人たちに冷たいイメージがありますが、
この映画を観ていますと、それは、ごくごく一部の中国人像を
切り取った映像に過ぎないなーって、改めて反省させられます。
ほんと、人間ほど、残虐で罪深い生き物はこの地球上ではおりません。
が、人間ほど、美しくて素晴らしい生き物はいないと思える・・・
そんな清らかな映画でした(%笑う女%)(%ハート%)