全国で4600万個が販売された「茶のしずく石鹸(せっけん)」に含まれる小麦の成分によってアレルギー症状を訴える人が相次いでいる問題で、日本アレルギー学会は、症状を起こしたとみられる成分を明らかにしたうえで、せっけんを使って体に異変があった場合は医療機関に相談してほしいと注意を呼びかけました。
この問題は、福岡県の化粧品会社「悠香」が去年12月7日まで販売していた「茶のしずく石鹸」を使った人の一部に、小麦の成分によるアレルギー症状が出たものです。
これを受けて、25日、日本アレルギー学会が東京・霞ヶ関で会見し、今月4日までに会社から報告された症状が出た患者は、一時、意識を失うなど重症の患者を含め、全国で569人に上っていることを明らかにしました。
また、アレルギーを引き起こした小麦の成分は、小麦に含まれるタンパク質を分解した加水分解コムギ末の一種「グルパール19S」だと考えられると指摘しました。加水分解コムギ末は、泡立ちをよくしたり保湿効果を高めるため、せっけんやシャンプーなどに広く使われていますが、グルパール19Sは、ほかのコムギ末より粒子が大きいため、アレルギー症状を起こしやすい可能性があるということです。
「茶のしずく石鹸」を使った人にアレルギーの症状が出たことから、厚生労働省は去年10月、全国の化粧品を製造・販売する会社に対して通知を出し、製品に「加水分解コムギ末」という小麦の成分が含まれている場合、容器などに小麦の成分が含まれていることなどを表示するよう呼びかけました。
また、全国の医療機関と化粧品会社に、症状が出た患者を把握した場合、国に報告するよう求めました。しかし、その後も症状を訴える人が相次いだことから、茶のしずく石鹸を製造・販売する福岡県の化粧品会社「悠香」は、ことし5月、せっけんの自主回収に踏み切り、厚生労働省も会社の名前と被害状況を公表しました。
日本アレルギー学会によりますと、去年9月から今月4日までにせっけんを使ってアレルギー症状が出た人は全国で569人に上っています。ttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20111125/t10014209111000.html
◆小麦加水分解物含有石鹸「茶のしずく」を使用したことにより発症する小麦アレルギーに関する情報センター
http://www.allergy.go.jp/allergy/flour/index.html
◆小麦加水分解物含有石鹸「茶のしずく石鹸」について/消費者庁
http://www.caa.go.jp/safety/pdf/110607kouhyou_1.pdf