今回はスペシャル版、大牟田市から、神明湯と超ベテラン機関車たち

一週お休みをいただいて、今回は特別版、大牟田市の神明湯をレポートさせてください。
大牟田市は炭坑節で有名な三池炭鉱で栄えた町です。♪月が出た出た月が出た、三池炭鉱の上に出た・・・です。市役所庁舎をはじめ、かつての炭鉱の栄華をしのばせる建物を数多く見ることができます。また炭鉱を結んでいた専用鉄道も築堤などに跡をとどめていますが、その中でJR大牟田駅から仮屋川のヤード、宮浦のヤードを経て、三井化学の工場までの専用線は、現役で化学薬品などの貨物輸送を続けており、大変貴重な存在です。
 この専用線、JRが交流20,000V、専用線が直流600Vと電源が異なるため、JRからはディーゼル機関車が運んで来て、仮屋川のヤードで専用線の電気機関車にバトンタッチします。この機関車は戦中派の東芝戦時標準機関車。以前は南海電車や東武鉄道にも仲間が走っていました。
さらに化学工場の中へは、火花を避けるため蓄電池を電源に走る電気機関車が貨車を牽いてゆきます。こちらはなんと大正生まれの古強者です。

訪れた日はハプニングがありました。JRのディーゼル機関車が故障で動けなくなってしまったのです。このため貨車がやってくるのを待っていた専用線の電気機関車、蓄電池機関車、沿線の踏切保安係の方々、それに私も待ちぼうけ。
夕方頃JRの代わりの機関車が駆けつけて、ようやく貨車を持ってきたそうです。大正生まれのご老体、蓄電池機関車は「なんだ、いい若いもん(故障したディーゼル機関車のことです。)が情けない。わしが貨車を取りに行ってやる。」と言っていたかもしれません。というのも、蓄電池で走るので近くならどこへでも行けるから・・・?

専用線の途中、旭町の踏切のすぐそばに神明湯があります。写真の東芝戦時標準機関車のすぐ右に小さく看板が見えています。専用線の線路からすぐ近くですが、専用線の貨物列車は朝に往復するので銭湯でその音を聴くことはできません。でも実は銭湯の前の道のすぐ先にも踏切があって、そちらを通るJRの汽笛がよく聞こえます。この日の夜入浴に行ったとき、ちょうど銀色の機関車に牽かれた貨物列車が走り抜けていきました。