さくらびレポート359〜3学年卒業制作から考える3年間の授業デザイン

櫻ヶ岡中学校の中平です。年末年始休業に入っています。こういった長期休業中は、今までの授業を省みたり、今後の方針について考えたるする良い機会です。

3年間のカリキュラムを「Nスパイラル」という名前で呼んでいます。3年間の終着点を、今行っている15時間の「卒業制作」として、設定しています。何を目的に3年間授業をおこなっていくのか、その狙いをはっきりさせることで、1年生からの115時間の授業の仮説が設定できます。目的、仮説、手段を設定することが、教師の思想といいますか、コンセプトが明確となります。つまり、3年間のカリキュラムこそ、美術教師としての考え方、つまりデザイン観の現れる部分であると考えています。

私の考えるNスパイラルは、アカデミックな授業と、造形遊び的な授業両方の折衷案であると思います。一時間だけの授業を参観される先生は感想で「アカデミックな授業はやらないのか」と質問されることがあるのですが、たまたまその時にご覧になった授業が楽しい授業であったというだけで、織り交ぜてカリキュラムを作っているのです。

言い方を変えると、私の115時間3年間のカリキュラムは「卒業制作を行うための115時間1題材カリキュラム」であるとも言えるでしょう。そういった考えや狙いを明確にすると、1年生の時から、この一時間授業が、3年生の時にどんな力となるのか、はっきりしてきます。また、そういう思考で考えると、一つの題材にいろいろなことを盛り込みすぎることがなくなります。一つ一つの作品を教師が良くしようと思いすぎると、生徒たちはやるべきことが増えてしまって、何をやったらいいのかわからなくて混乱する生徒が増えてしまいます。
そうやって、生徒は自信を持ちつつ、力も意欲も育てながら3年間授業を行っていくのです。

そして、今、3年生の卒業制作をしています。ここで今、私が課題だなあと感じているのは、生徒が制作にどれだけ本気に取り組んでいるのか、ということです。簡単に終わらせようという生徒がいるかいないか、ということです。

今年は、少し枠からはみ出しそうな生徒が少ないことも気になります。

必修授業は、どうしても受身の授業になってしまう。そこへ行くと、今はなくなってしまいましたが選択美術の授業は、どんどん自由にはみ出しながらやっていました。今年は選択がありません。はみ出さない生徒が増えていることは、もしかすると、選択がなくなったことと関係があるのかもしれません。

選択教科の自由さを感じる新たな試みとして、「カオスギャラリー」というスペースを設けました。今年の3年生卒業制作の取り組みの様子を省みた時、カオスギャラリーの役割や、Nスパイラルの題材や、繰り返し習得すべき内容について改良を加える必要が出てくると感じます。

今日は31日大晦日。皆様、良いお年をお迎えください。