構造的暴力 竹田茂夫より

個別の利潤追求が市場の中でうまく織り合わされて
社会的善が実現するというのが「神の見えざる手」の理屈だ

この図式の陰画は、個人の小さな悪が積み重なりシステム全体として
巨大な不正を行うという「構造的暴力」であろう

歴代の東電経営者、官僚、御用学者らの個々の行為・不作為の
陳腐さと福島の事故の歴史的な重苦しさの際立った対照は
原発は構造的暴力であることを意味する

エネルギー産業の持つ巨大な経済権力を背景に
東電は構造的暴力を行使してきた

時として巨大企業の構造的暴力は直接的暴力に姿を変える

ナチのユダヤ人収容所で奴隷労働を使い
絶滅のための毒ガスを生産した独企業IGファルベン、

ニジェール河デルタ地帯で原油生産への抵抗を排除するために軍事政権に
残虐な住民抑圧をやらせたシェル石油、

同じくミャンマー軍事政権の下で住民抑圧を働きかけたシェブロン石油、等々

原発事故も住民の生活と大地を根こそぎ奪い取る直接的暴力といえる

世界の原発メーカーの三大グループのいずれにも日本企業が入っている
一度途上国などで原発事故が起きれば日本企業は加害者の立場に立つことになる

原発輸出とは、いつ直接的暴力に転化しないとも限らない危ういビジネスなのだ

<ハナカイドウが咲きました>