視覚障害のかたのオーダーメイドの避難訓練

これは、現在は萩野茂樹の個人的な活動であることをお断りしておきます。

●津波が襲来したときに視覚障害者はどう逃げるのか
陸前高田市にボランティアバスを運行し、ほんとうに短期間ではあったが、被害の様子を目に焼き付けて来ました。
福祉ボランティアを基本とする私たちは、東日本大震災の貴重な教訓を今後に生かしていく責任もあると感じています。

●志摩市の視覚障害者の方から相談を受けて
わが三重県は、県の南部が太平洋に面し、東北と同様のリアス式海岸が広がっています。志摩市も太平洋に面しており、もし三連動地震が発生すれば、20メートル以上の津波が数分で到達すると予測されています。

●従来の避難訓練は
視覚障害者のみなさんが、一度公園等に集合しそこから、皆でぞろぞろ避難場所に避難するということが訓練として実施されてきました。数分で津波が到達するという場合を考えると、そのような訓練は現実的ではありません。

●それぞれの自宅から避難する訓練が必要です。
そこで、多数の方向けて実施する前に、練習としてその方のお宅からの避難を練習してみることにしました。つまり、必要なのは、オーダーメイドの避難訓練という事です。しかし、多数の場合も同じで、それぞれのお宅からの避難訓練で、それを実施するためには、沢山のボランティアが必要になるわけです。

以下は、その訓練の簡単なスケジュールです。
●当日は、まず自宅に行き、まず、その方と一緒に避難ルートを探しながら、歩きます。まあ、することはそんなもので散歩のようなものです。
しかし、歩く時には、同行したボランティアは、地震が起こった時に壊れて通行の障害になりそうなものを、見きます。見つけたら写真でも撮って記録して、視覚障害の方にお薄を説明しておきます。
実施前ですが、二つの避難ルートが考えられます。第一は、とにかく高いところに逃げるルートと。もう一つは、広い道に出て、晴眼の避難者の手助けを期待するルートです。これは、その方の宅の場所や周辺の道路の状況から判断すればいいと思います。

●予備の白杖
地震が発生し、視覚障害の方が緊急に避難する必要を想像するとまず、白杖と履き物です。白杖(はくじょう)とは、視覚障害者の方が持つ白い杖の事です。
白杖の予備に、鈴をつけて玄関の脇にぶら下げるましょう。鈴は、見つけやすい為です。鈴や、釘、トンカチ等が必要なのでそれはボランティアが持参します。
履き物は問題です。地震で玄関がぐちゃぐちゃになると、すぐに履き物が見つからない可能性があります。
地震では、避難路にどんなものが落ちているかわからないので、素早く避難するためにも履き物は大切でしょう。
準備物は、そのくらいだと思います。

●訓練の際には
お一人のケースで検討し、それを基に、さらにたくさんの方のお宅に伺い、避難訓練をする必要が生じてくると思われます。
特に単独歩行に慣れていない人の場合は、倒れても怪我をしないよう、丈夫な手袋、肘当て等が必要になるかもしれませんが、それが必要かどうかも検討したいと思います。

●問題提起が大切だと思います。
視覚障害の方にかぎらず、障害を持った方への例えば津波避難等は、志摩市だけの問題ではなく、海に面し津波の被害が予想されるすべての地域の問題です。
従来、行政が開催して来た、健常者中心の防災訓練・避難訓練ではなく、障害を持った人に対する訓練が必要です。しかし、障害と言ってもそれは多様です。しかし、だから仕方がないという事ではないと思っています。

●津波てんでんこ
これは、多様な解釈があり、切り捨てだとの論議もありましたが、私は「てんでんバラバラに逃げれるように、普段から万全の準備をしていく事」と解釈したいと思います。