視点食い違う地域と国 内山節より

今から20年ほど前大きな台風が森林をなぎ倒したことがあった
国にとって被害は数字で表されたものなのである
ところが地元では被害は一人一人の状況やコミュニティの受けた
苦境だったりする
ここには数字で表すことのできない被害の現実がある

この食い違いが際立って現れたのが東日本大震災からの
1年余りでもあった

この食い違いの一つの結果が大飯原発の再稼動でもあった
国にとっては原発なき社会へ向かった時の数字的損失が問題であり
人々にとっては無事な社会を作ることや
自分たちの生きる世界に原発が必要かどうかが課題であった

私は国は社会づくりの主体にはなりえないのだと思っている
社会デザインの主体たり得ないと言った方が良いのかもしれない
社会づくりができるのは地域であり、コミュニティや一人一人の
共に生きようとするわたしたちの「まなざし」である

人々が結び合ってつくる世界と経営体としての国の世界
この食い違いを見据えながら、私たちはこれからの社会づくりを
すすめなければならないだろう
このことが分かっていないと、国に過大な期待をし、常に裏切られることになる

共に生きる無事な社会をつくり、共に生きる仕事の社会をつくる
この現在の課題に応えることが出きるのは私たち自身である

<ニワゼキショウは小さな花です>